「ここにいること」を 強みにする

みとよ100年観光会議 会長 真鍋 貴臣さん

Interview

2016.12.01

「街づくり」「地域活性化」を掲げて活動を始める団体は全国各地にあるが行政の補助金が終了した途端、先細りしていくケースも少なくない。「そうならないためには、計画を立てて終わりではなくそれを実際に動かす“プレイヤー”が存在することと、経済的にある程度自立することが重要だと思います」とみとよ100年観光会議(以下、100年会議)会長・真鍋貴臣さん(41)は言う。100年会議では本業をもつメンバーも多く、それぞれの専門分野を生かしながら景色や食といった地域の素材を観光資源としてお金に換える仕組みを模索している。
大学卒業後、銀行に就職して8年ほどたったころ、システムを共同化するプロジェクトに携わった。苦労して完成させたが、その結果自分の仕事を奪うことになったのではないか、という思いが湧き上がってきた。それを機に三豊に帰り家業の「香洋石油店」を継ぐ。「当時ガソリンスタンドのお客さんは減っていて、この地域が市場として縮小していることを肌で感じました」。移住者で活性化するのも限界がある、工場や企業を誘致して10人20人雇用が生まれても自然減の方が多い。地域の問題は、経営の悩みと無縁ではなかった。

そんな時、三豊市が観光基本計画を策定するにあたり市内の事業者25人に声をかけ、検討委員会を立ち上げた。その一人として参加したことで地域のことを知り、考えるようになったと言う。「きれいな景色を見に来てくれても、食事する店も遊ぶプランも泊まる施設もないから、三豊で使うお金は一人500円以下という現実に愕然としました」。自分たちの子どもや孫世代も故郷を好きでいてほしい、県外に出てもいつかは帰ってきてほしい、けれど今のままでは難しいと誰もが危機感を持った。

検討委員会の仕事はあくまで「基本計画を作る」ところまでで、それ以上活動しても補助金が出る確約もない。しかし「計画を作りました、で終わるのはイヤ」というメンバーが中心となり、計画をプレイヤーとして実行する100年会議が誕生した。
「ゲストハウス燧」からは海が間近に見える

「ゲストハウス燧」からは海が間近に見える

まず取り組んだのは、三豊市として合併した旧7町の人に集まってもらい、お互いの地域を知ること。そうして発見した「いいもの」を生かして、タケノコ狩り+調理体験などのイベントを開催した。その活動から、自分たちがやるべきなのは大金を投入したイベントではなく、小さなグループや個人に地域の食やいいものを深く知ってもらい、何度でも来たくなるパッケージを作ることだと確信する。地元の人と交流し、少しでも長く滞在してもらえるよう「民泊」事業もスタート。真鍋さんも燧灘(ひうちなだ)沿いに「ゲストハウス燧(ひうち)」を開いた。

「地元が好き、という思いだけでは続かないと思います。いかにお金に換えていくかという視点も必要」。ゲストハウスは美しい景色を目当てに海外からもお客さんが訪れるコンテンツになった。カフェのオーナーや会社経営者など、ほかのメンバーも100年会議の活動を苗床にして自分たちの事業に生かそうと思っている。だから、予算がなくて苦しかった時期も頑張れたと振り返る。
FM香川主催のイベントにブース出展

FM香川主催のイベントにブース出展

経営に悩んでいた時、思ったことがある。「事業の強みは時代によって変わるけれど、美しい景色が地域の魅力であることは100年たっても変わらない」。だからこそ「ここにいること」を強みに、ここで暮らせるビジネスモデルを次の世代に渡したい。来年、100年会議は法人化する予定だ。メンバーは100年、その次の100年を見据えている。

編集長補佐 石川 恭子

真鍋 貴臣 | まなべ たかおみ

1975年 8月 旧三豊郡詫間町生まれ
1999年 3月 九州大学経済学部経済工学科 卒業
1999年 4月 百十四銀行入行。善通寺支店 勤務
2001年 7月 システム部
2010年 6月 退社
2010年 7月 (株)香洋石油店 入社
2014年10月 代表取締役社長 就任
2016年 3月 ゲストハウス燧(ひうち) オープン
写真
真鍋 貴臣 | まなべ たかおみ

みとよ100年観光会議

住所
三豊市詫間町詫間1338-127
発足
2015年7月
活動内容
三豊市において「観光を産業」にするべく市内外のヒト・モノ・コトをつないで魅力あるコンテンツを創造
地図
URL
http://metoyo.jp/
確認日
2018.01.04

燧ーHIUCHIー

住所
769-1104
香川県三豊市詫間町大浜甲2144-4
TEL:050-3557-2144
地図
URL
http://hiuchi-rc.com/
確認日
2018.01.04

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