調査方法で変わるデータの信用度

学習塾経営者、ビジネス数学インストラクター 大沼宏和

Research

2021.08.19

インターネットが普及し、情報化社会となった現代ではあらゆる「情報」「データ」に触れることができます。特に我々の生活に身近なものとして、「世論調査」や「街頭アンケート」などがあります。前者は信ぴょう性が比較的高いように思いますし、後者は随分ライトなものに感じるかもしれません。しかし、皆さんが抱いているそのイメージは正しいのでしょうか。

個別訪問、郵送はランダム性が高いが…

「世論調査」のための代表的な手段と言えば、個別訪問、郵送、電話です。調査対象者全員に聞きとりを行う「全数調査」が現実的でない場合、その一部(サンプル)をランダムに抽出して行う「標本調査」が行われます。そのデータの信用度は、このサンプル抽出時のランダム性が大きく影響します。

個別訪問や郵送による調査は、ランダム性の高さが世論調査に用いられる要因となります。一方で、機動性※1や経済性※2が低いというデメリットがあります。そのため、何度も何度も繰り返し行うことは難しく、継続的に調査する必要のある事柄には不向きです。

また、個別訪問では正直に回答しにくい場合がある、郵送では有効回答率が低いという問題点もあります。

※1 やろうと思えば数日で調査が完了する
※2 予算を比較的低く抑えられる

街頭アンケートはアテにならない

テレビ番組等で行われる「街頭アンケート」が、世論調査の手段として採用されることは現時点ではありえません。それは、特定の場所で行われたりリポーターの目に留まった人に聞いたりするため、データに偏りが生じるからです。また、「インターネット調査」も同様で、「答えたい人」のみが対象者となることや、まだまだ高齢者には十分に普及していると言えない現状がランダム性を下げています。

電話による調査が最良だが問題も

現在、ランダム性・機動性・経済性の3つを兼ね備えているのは、RDD(Random Digit Dialing)と呼ばれる「無作為抽出に基づく電話聴き取り調査法」です。従来は固定電話のみを対象に行っていましたが、2016年以降は携帯電話も対象とした「併用式RDD」を導入したため、若年層や「携帯限定層」にもアクセスできるようになりました。

現状において、日本国民の有権者が対象の調査方法としてはRDDが最良だと考えられています。しかし、やはりここにもいくつか問題点はあります。

1つ目は、携帯電話の回答者がやや男性に偏ることです。無作為に依頼しても、回答者の6割以上が男性になります(ちなみに今日の日本の人口は、女性が300万人以上多いです)。知らない番号からかかってくる電話に対し、女性のほうが警戒心が強いからでしょうか。

2つ目は、選挙区単位の調査がしづらいことです。RDDでは、コンピュータがランダムに番号を入力することで回答者を選ぶのですが、携帯電話所有者のほうが圧倒的に多い昨今、RDDによって地域性の高い調査をすることは困難になっています。

大沼 宏和|おおぬま ひろかず

略歴
1982年 青森県生まれ
2001年 高松高校 卒業
2005年 神戸大学工学部 卒業
2007年 神戸大学大学院自然科学研究科 修了
香川県の予備校勤務を経て
2016年 HOP 設立
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大沼 宏和|おおぬま ひろかず

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