論理的思考でコミュニケーションを(前編)

学習塾経営者、ビジネス数学インストラクター 大沼宏和

Research

2022.02.17

これまでの「ビジネス数学塾」では、資料や数字の見方についての記事が大半でした。今回は「論理的思考」を用いたコミュニケーションの取り方についてお話しします。

なぜ伝わらないか、なぜ理解できないか

例えば「部下に指示したことが伝わっていなかった」「先方の要望が十分にくみ取れていなかった」などのように、ビジネスパーソンであれば誰もが一度はコミュニケーションで苦労した経験をお持ちだと思います。

なぜ、コミュニケーションに齟齬が生じるのでしょうか。私の経験上、主に原因は3つあると考えます。

1つ目は、話に具体性がないことです。例えば上司が部下に「営業をもう少し頑張ってくれないか」としか言わなければ、部下はどれぐらい頑張ればよいか分かりません。それを聞いた部下は十分に頑張ったつもりでも、上司にとっては物足りないかもしれません。これはいわゆる「How?(どれぐらい?)」がない状態です。

2つ目は、話にロジック(論理性)がないことです。例えば、あなたがある中小企業に勤めていて、社長が突然「駅前に広告を出そう!」と言い出した場合、おそらくあなたは「突然どうした?」と思うでしょう。これは「Why?(なぜ?)」がない状態で、駅前に広告を出す理由が決定的に欠けています。

そして3つ目は、思いやりがないことです。ついつい相手に「なぜ分からないの?」とか「常識的にそれはあり得ないよ」と言ってしまったことはありませんか?当たり前ですが、自分と相手は別人格です。つまり、前提となる知識も理解も異なる可能性があるにもかかわらず、一方的に相手を非難しているわけです。これは「Heart(心)」がない状態です。

論理的思考がコミュニケーション力を上げる?

この「思いやりがないこと」が、実はコミュニケーションが円滑に進まない最大の原因なのです。「相手を思いやれない」とは「自分本位」であること、つまり会話の内容が極めて主観的で、客観性に欠けているのです。

逆に言えば、相互の発言に客観性があれば、少なくともビジネスにおけるコミュニケーションは円滑に進むでしょう。そしてこの「客観性」を十二分に有しているのが「論理的思考」なのです。

「論理的思考」とは、一般に「一貫していて筋の通っている考えまたは説明」という意味として解釈されます。一見すると、論理的思考とコミュニケーションは水と油のように相容れないものだと思いがちですが、論理的思考力があるということは自分の考えや説明に客観性があるということです。決して「理詰めをする冷たい人」という意味ではないのです。

考えを伝えるための3つのテクニック

では実際に、自分の考えを相手に「正確に」伝える3つのテクニックをご紹介します。

まず1つ目は、「数字を使う」ことです。先ほどの「営業をもう少し頑張ってくれないか」と発言した上司は、部下に「来月は今月の売上の110%を目標にしてくれ」と伝える方が具体的で分かりやすいですね。数字を使うことで指標が絶対的になるため、相互理解が促進されるのです。

2つ目は、「ロジックを使う」ことです。「駅前に広告を出そう!」と発言した社長は、その理由を言わないことが決定的にまずかったわけです。例えば「○○駅の利用者の大半は30~40歳代だから、この商品の広告を出す効果は高い」と伝えていれば納得性は高まりますし、仮に反対するとしても議論が前に進みやすいですね。

そして最後は、「相手に全体像をイメージさせる」ことです。相手に話の構成や展開を見せることで、今何の話をしているか、どの部分を話しているかが明確になるわけです。具体的にどのようにすればよいか、続きは次回「後編」にてお話しします。

大沼 宏和|おおぬま ひろかず

略歴
1982年 青森県生まれ
2001年 高松高校 卒業
2005年 神戸大学工学部 卒業
2007年 神戸大学大学院自然科学研究科 修了
香川県の予備校勤務を経て
2016年 HOP 設立
写真
大沼 宏和|おおぬま ひろかず

将来展望型学習塾HOP

住所
香川県高松市太田上町1060‐11 太田第一ビル
代表電話番号
087・880・4159
地図
URL
https://www.hopforhope.info
確認日
2021.07.01

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