
複数の工程を自動で行う大型複合加工機
いい溶接とは
溶接は、金属が液状から固体に変化する過程で接合部分の金属が盛り上がる、接合部分によって金属の厚さがまちまち、といったことがないように仕上げる技術が必要だ。仕上がりの違いは製品の強度やスムーズな作動にも影響する。香西鉄工所は、強度がありかつミリ単位の精密な仕上がりが要求される大型クレーン用部品の製造を通し、技術を高めてきた。
大型プラント製造で、技術と管理能力を発揮

超高精度測定を可能にする三次元測定機
クレーン用部品では、「高張力鋼」という特殊な資材を使うこともある。高張力鋼は引っ張る強度が強い鋼材のことで、一般的な鋼材の引張強度が400MPaに対し、490MPa以上の鋼材を指す。数値が高いほど強度を保ったまま薄くすることができるため、軽量化できる。ただ加工が難しく、寸法の精度を保ち、溶接した部分のゆがみを抑えるには技術が必要だ。香西鉄工所は、高張力鋼の中でも980MPaの鋼材に対応できる溶接技術をもつ。
その技術を活かし、手掛けられるのは業界でも数社という大型施設の製造に挑戦した。実際の製造には専用の大型製造設備が必要だが、導入前からこれまでの加工知識やノウハウを結集し、何年も試行錯誤を続けた。その精度の高さが認められて受注が決定。大型複合旋盤や溶接に使う電子ビーム、不純物のない真空内で溶接できる設備なども導入した。設備導入により、厚さ5センチの金属の溶接も、接合部分表面の盛り上がりを抑えながら1度に接合することができるなど、製品の精度も向上した。
これらに加え、洗浄、金属表面の状態などの検査、自動の三次元計測といった、製品を管理する能力も進化。大型クレーン製造で培った財産が、新たな分野を切り開いた。
◆キーワード
金属結晶
金属で原子どうしを結び付けている価電子は、金属内を自由に動くことができるため、熱エネルギーを伝えやすい。金属の熱伝導率が高いのは、そのためである。

高張力鋼材
機械的な強さを表す一つに「引張強度」があり、金属に引っ張る力を加えた時に壊れるまでにかかる変形や負担の大きさをいう。この引張強度が強い鋼材を高張力鋼材といい、軽量化できる、耐食性が高くさびにくいため風雨にさらされる環境でも使いやすいといった特徴がある。
薄い金属でも強度が高く軽量化できるため、自動車にも使われている。単位の1MPa=1N/mm²=10kgf/cm²

◆スタッフ・メッセージ

写真左:髙野あすかさん/写真右:吉田麻虎さん
お互いの入社の動機でもある四国トップクラスの溶接技術や施設、整った環境下、髙野さんは人に対する「思いやり」と「気配り」の気持ちを大切にライフ・ワーク・バランスの実現のための成長、吉田さんは剣道で培った「礼儀作法」を大切に溶接以外でも工場の中で必要なスキル習得を目指し、全力かつ貪欲に取り組んでいます。
営業1課
髙野あすかさん
小豆島中央高校・高松大学出身
第1職場
吉田麻虎さん
志度高校出身
株式会社香西鉄工所
- 住所
- 香川県高松市春日町1286-10
- 代表電話番号
- 087・843・1177
- 事業内容
- 建設用機械の基幹部品製造、機械器具の部品製造、鋼構造物・機械器具の設計・製造・据付
- 地図
- URL
- https://www.kozai-iron.co.jp/
- 確認日
- 2021.11.18
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