グラビア印刷技術で「Fan Fit Fun」へ

フジコー 社長 森 光弘さん

Interview

2026.06.04

Tシャツに書かれている「Fan Fit Fun」はフジコーが掲げる経営理念 =丸亀市川西町南のフジコー本社

Tシャツに書かれている「Fan Fit Fun」はフジコーが掲げる経営理念
=丸亀市川西町南のフジコー本社

「世の中は意外と……」

グラビア印刷技術によるパッケージ印刷やフィルム加工を行うフジコー。その守備範囲はかなり広い。

トイレットペーパーやオムツ、生理用品や脱脂綿などの商品を包むパッケージを、ポリエチレンフィルムを加工・印刷してつくる「パッケージ印刷事業」。食品包装用の紙に、水や油をはじく機能を持たせる「撥水・撥油紙事業」。湿布や両面テープなど粘着性のある商品に必要な“剝がされる側のシート”をつくる「剥離フィルム事業」。さらには、複雑な形状の立体物に特殊な印刷を施す技術で車のハンドルを彩ったり、スマートフォンや、その製造工程で欠かせない機能的なフィルムをつくったり……
令和7年度「かがわ成長する企業大賞・ものづくり部門」を受賞=2026年2月

令和7年度「かがわ成長する企業大賞・ものづくり部門」を受賞=2026年2月

「基本的にはB to Bの会社で、“秘密保持”な商品も多いので、消費者の皆さんは私たちのことをあまり知らないかもしれません。でも、例えばドラッグストアに行けば、『この一角、ほとんどの商品にフジコーが関係している』ということも珍しくないんです」と社長の森光弘さん(55)は胸を張る。

フジコーのホームページを開くと、こうある。
“世の中の縁の下の力持ちです”。

そして、こう続く。

“世の中は意外とフジコーでできている”

何が食べたいですか?

多様なプラスチックフィルム素材に対応でき、鮮明な色彩表現に優れるグラビア印刷。フジコーは1974年の創業以来、グラビア印刷技術を武器に成長を続けてきた。

元々はパッケージ印刷が主だったが、剥離フィルムや撥水・撥油紙、さらには現在開発が進む、“電磁波を吸収”したり“ノイズを抑制”したりする「特殊導電層付きフィルム」の製造など、事業を広げられたのは「グラビア印刷の技術やノウハウがあるから」と森さんは強調する。

グラビア印刷は、版に文字や図柄を彫り、そのへこんだ“凹部”にインキをのせて素材に転写していく手法。「これまでインキをのせていたところに、シリコーンをのせたり様々な機能材をのせたりする。そうすることで、商品パッケージが、スマホに搭載するフィルムや、電磁波を吸収するフィルムにもなるんです。培ってきたグラビア印刷技術の賜物です」

生活用品、情報電子、半導体、医薬品、自動車内装部品……フジコーがグラビア印刷技術を駆使してつくるパッケージやフィルムの行き先は多岐にわたる。消費者の手に届く最終的な商品もあれば、工場の製造工程のみで使用されることもある。「パッケージにもう少し弾力がほしい」「スマホ用のフィルムなのでもっと軽量化してほしい」「製造ライン上でフィルムに発生する静電気を排除してほしい」……取引先からのあらゆる要望にピンポイントで応えていくため、「材料は同じでも、それぞれのお客様向けに仕様を変え、機能を変える。完全オーダーメイドで、同じものを二つとしてつくっていないんです」
2024年、まんのう町に新設したイノベーションセンター

2024年、まんのう町に新設したイノベーションセンター

森さんはフジコーを“料理人”だと表現する。

「どこそこのメーカーの材料を使って、こんな仕様で仕上げていく。在庫はこれぐらい持っておけば回していけるのでは……」、それはつまり「いろいろな食材や調理法を知っているので、いろいろな料理をつくれます。何が食べたいですか?という感じでしょうか」と笑顔で話す。

「私たちは、やりたいことや困りごとなど、お客様が抱える様々な課題にお客様と一緒に取り組んでいく“課題解決型企業”ですね」

経営理念に“昇格”

『Fan Fit Fun』

2年ほど前の総務部長だった頃、若手社員らと一緒につくった会社のビジョンだ。「お客様、協力会社様、従業員などステークホルダーに寄り添い、苦しいこともワクワクする楽しみや期待に変えていく、という思いを込めました。とても気に入っているんです」

今年1月、フジコーは同じ丸亀市のフィルムメーカー、大倉工業の傘下に入った。大倉工業のフィルム製造技術と、フジコーのフィルム加工技術が一つになり、製造から加工までを一貫して行う開発・生産体制の確立や事業の拡大を目指していく。「大倉工業とは以前から付き合いが深く、今後は大いに相乗効果が期待できます」
ステークホルダーに寄り添い、喜びや楽しみを生み出していく

ステークホルダーに寄り添い、喜びや楽しみを生み出していく

そして、このタイミングで社長に就いたのが森さんだ。森さんは『Fan Fit Fun』を「会社のビジョン」から「経営理念」に“昇格”させた。「私たちのファンや支援してくれる人をたくさんつくりたい。そのために皆さんにフィットし、一緒に喜びや楽しみを生み出していく。『のびのびと、ぴったりと、支えてくれる人々と』です」

フジコーで長く開発畑を歩み、「やりたいことに何でも挑戦できる。それがこの会社のいいところ」と話すが、「判断し決定し責任を取る、という立場に変わったので、少し疲れますね」と苦笑する。

「お客様の課題解決をみんなで喜びながら、笑い合いながら暮らしていく。そんな会社にしていきたいと思っています」

篠原 正樹

森 光弘 | もり てるひろ

略歴
1971年 まんのう町出身
1989年 善通寺第一高校 卒業
1993年 関西外国語大学外国語学部 卒業
     大手塗料製造販売会社勤務を経て
1998年 株式会社フジコー 入社
     営業、開発、品質、総務などを経て
2026年 代表取締役社長 就任

株式会社フジコー

住所
香川県丸亀市川西町南甲284番地2
代表電話番号
0877-28-6111
設立
1974年2月
社員数
310人
事業内容
パッケージ事業、剥離フィルム事業
転写印刷フィルム事業、撥水・撥油紙事業
資本金
3000万円
事業所
本社(丸亀市)
営業所(静岡、高知)
本社工場(丸亀市)
まんのう第1工場・第2工場(まんのう町)
イノベーションセンター(まんのう町)
地図
URL
https://fujiko.jp/
確認日
2026.06.04

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