「至誠通天」

香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

column

2026.06.04

教育長の任期満了、再任という時期であったからだろうか。年明け以降、とても早く過ぎ去ったように感じた。そして、様々なことに取組み実行した3年を顧み自省し自戒する中で新年度を迎え、任期3年の責任の重みに改めて身の引き締まる思いとともに、「誠心誠意」という言葉を胸に刻んだ。

私が座右に置く言葉の中に「至誠通天」がある。誠を尽くせば天に通じる。ということだが、身近に置き換えると、一つ一つ難しい課題でも誠実に取り組んでいけば、必ず思いは通じるという趣旨だ。また、仕事柄、学校の先生方などを前に、自分の考えなどについて、お話する機会では、「愚直こそ王道」ということを語っている。誠実で真っ直ぐな姿勢という意味合いで使っている。それゆえ、「課題に『正面から向き合う』」という言葉をよく使う。

人工知能(AI)が発展する中で、教育については、AIに代替されない力、情報活用力、問題発見・解決力、他者と協働する力などを育成し、個性を伸長させるため、ベクトルを動かしてきた。「朝出して夕方できる」を売りにした近所のクリーニング店、それが難しくなったと言う。人手不足が生活実感として迫っている。教育現場では、教師の真心に対して・・・。倫理観や規範性、単純な二項対立の中に答えがないことを理解する忍耐力や精神性、誠実に接しようとする人への思いやりの心、努力を積み重ねることへの敬意、ひたむきさを評価する姿勢など、むき出しの資本主義社会の中では、甚だ「お花畑」なのかもしれないが、争いを繰り返す歴史の中でも、このようなことを教え導くことを諦めず未来を信じたいと思う。

一人一人が、自分の人生を生きている。苦しみ悲しみなど、他者には理解できないものも抱えながら。そういうことを心からわかろうとし支えあい励ましあいながら、確固たる社会観を持ち、時代の変化に応じて社会を変革し、より良い社会を追求するためには。改めて学校だけでなく社会としての筋の通った教育の重要性を痛感している。

香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

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