新たな人の流れを生み出し
香川全域を笑顔にしたい

全日本空輸 高松支店長 後藤田 佳子さん

Interview

2026.06.04

小学生の頃、京都から徳島の祖父母を訪ねる時はいつも飛行機だった。キラキラ輝いて見えた客室乗務員(CA)にあこがれ、CA輩出の“西の名門”とうたわれた関西外国語短期大学へ進学。明るく元気な企業イメージに惹かれ、就職先は全日本空輸(ANA)を志望。ほとんどANA一本勝負の就職活動を勝ち抜いて、伊丹空港客室部で夢への第一歩を踏み出した。

多角的な視点を身につけ 客室乗務の品質を向上

子どもの頃から「人が大好き」を自認する後藤田さんにとって、客室業務を通じてさまざまな人と出会うこと自体が仕事のモチベーションだった。「不機嫌なお客さまにも積極的にアプローチし、少しでも笑顔を見せていただけるとうれしかった。仕事が楽しすぎて、休みなんか要らないと思ったほどです」

入社14年目で品質評価部に異動。ANA系列や外資系を含む他社路線に搭乗して調査・分析し、自社のブランドイメージ確立につなげていく業務で、CAではなく「乗客」目線で現場を見る側になった。そこで気づいたのが、同じ機体・物品を使っていても、企業が違えば機内のサービスや雰囲気が異なること、それによって乗客の気持ちも左右されることだ。「やはり『人』の力は大きい、と思いました。当時は機内の娯楽も少なくてCAの挙動が目立ち、一人一人のふるまいが機内の雰囲気に直結するんです。みんなが笑顔になれるクルーマネジメントとチームワークを重視する姿勢は、ここで学びました」

3年後、東京の客室乗務センターへ。品質評価部での気づきを客室乗務に還元し、翌年マネジャーに昇格。責任が増すにつれ、「目の前のお客さまだけでなく、もっとたくさんのお客さまや仲間を笑顔にできるのが、マネジメントのやりがい」と考えるようになった。

2020年、ANAウイングス関西客室乗務室に室長として出向。大型機とは客層も路線も異なる小型機の客室乗務だ。コロナ禍の直撃を受けて大型機が運休する中、国内移動の重要な足となり、会社の経営をも支えた部門だった。同じ事務所内で運休路線のスタッフらが抱える不安や乗務するCAの不安も肌で感じながらも、「使命を果たそう」と部下を鼓舞した。

今も心に残るのは、あるCAの「ANAウイングスとしての認知度をアップする機会ですね」という、前向きな言葉。「こういう部下たちに支えられているんだと、思わず涙が出ました」

初の地方都市勤務で 地域の魅力発信を模索

趣味は書道。書象会師範の資格を持ち、展覧会などに出展も

趣味は書道。書象会師範の資格を持ち、展覧会などに出展も

2024年にANA客室センターの大阪乗務課に戻り、約350人のCAを束ねる立場に。まさに客室乗務一筋のキャリアが一転、今春から高松支店長に抜擢された。営業経験も地方都市勤務経験もなく手探りの毎日だが、「地方創生の鍵は、その土地を知ること」と語り、休日は県内各地に足を運ぶ。

現在、高松空港から就航しているANAの路線は2つ。海外への窓口にもなる羽田便、単独路線の沖縄便、いずれももっと魅力を発信したいと感じている。「県外・国外で受けた刺激が、地元を活性化するアイデアにつながることもあります。特に若い人たちに、どんどん活用してグローバルな視点を地域にもたらしてほしい」。インバウンドも意識し、行政や企業と連携して新しい人流をつくることで、香川全体を活性化しようと意気込む。

現場のCAから数百人を率いるリーダーへと着実に仕事のスケールを広げ、これからの視座はさらに大きな「地域」。目に映る景色は変わっても、「誰かの笑顔のために何ができるか」を考え続ける姿勢は、入社当時から変わらない。

戸塚 愛野

後藤田 佳子 | ごとうだ よしこ

略歴
1971年 京都府生まれ
1992年 関西外国語短期大学 卒業
    全日本空輸 伊丹空港客室部 入社
2006年 同 客室本部品質評価部
2009年 同 東京客室乗務センター
2010年 同センター マネジャー
2020年 ANAウイングス 関西客室乗務室 室長
2024年 全日本空輸 客室センター客室乗務部 大阪乗務課リーダー
2026年 同 高松支店長

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