高松空港のポテンシャル 地域で連携し魅力アップへ

高松空港 社長 平瀬 豪宏さん

Interview

2026.08.06

高松空港名物「うどん出汁の出る蛇口」の前で =高松市香南町の高松空港旅客ターミナルビル2階「四国空市場」

高松空港名物「うどん出汁の出る蛇口」の前で
=高松市香南町の高松空港旅客ターミナルビル2階「四国空市場」

高松空港から広がる香川・瀬戸内のポテンシャル

今年6月、高松空港株式会社の3代目社長に就いた平瀬豪宏さん(59)は「ポテンシャルがある」と強い口調で何度も繰り返す。

2018年に民営化した高松空港。26年7月現在、国内線は羽田、成田、那覇の3路線、国際線はソウル、釜山、上海、香港、台北、台中の6路線を持ち、昨年度は過去最多の旅客数225万人を記録した。「ビジネスと観光の両面でバランスよく利用していただき、ようやくコロナ前の水準を上回りました。昨年度は瀬戸内国際芸術祭と、あなぶきアリーナ香川のオープンというビッグイベントがあったので、これからが正念場です」。平瀬さんは口元を引き締める。

空港にとって業績を見る重要な指標の一つが“旅客数”。「今ある路線の増便と、新規路線の開拓が大きな目標。タイ、ベトナム、マレーシアなど東南アジアを中心に新航路開設の可能性は十分あると見ています」

そのために必要なのが、「『高松と航路を持ちたい』と思ってもらえるような魅力づくりです」。ここで、平瀬さんの言う“ポテンシャル”に繋がってくる。

「香川や四国には、まだまだ知られていない魅力的なスポットがたくさんある。世界に名だたる企業も多いですよね」

これまでは東京暮らしだった平瀬さん。香川に来る前に職場の仲間が送別会を開いてくれた。その席で「香川や四国に行ったことがない」と話す人が思いのほか多かったという。
県内17市町の特産品や観光地をPRする常設展示コーナー「空の駅かがわ」 =高松空港1階到着ロビー

県内17市町の特産品や観光地をPRする常設展示コーナー「空の駅かがわ」
=高松空港1階到着ロビー

「東京の人にとって、香川や四国がまだ身近な旅行先になりきれていない部分は、正直あると思います。ただ、裏を返せば、それだけまだ香川を訪れたことのない人が多いということでもあり、香川・四国にはまだまだ伸びしろがある。そう感じたんです。」と目を輝かせる。加えて平瀬さんは「高松空港を利用して香川に来ていただくのがとても大切だが、香川には、うどんや瀬戸内海の景観、アート、島々など、他にはない魅力があります。その魅力をより多くの方に知っていただくためにも、高松空港が香川の玄関口として選ばれ続けることが重要です。一方で、旅の楽しみ方は広がっており、香川を起点に四国や瀬戸内を周遊していただくことで、香川での滞在価値もさらに高まります。高松空港を入口に、香川の魅力をしっかり届けながら、周辺地域とも連携していく。その積み重ねが、結果として香川全体のブランド力向上につながると考えています」
現在、高松とソウルを結ぶ便が一日2往復している。「実はこれ、かなりすごいこと」と語気を強める。「韓国の首都と日本の一地方都市が直行便で繋がっている。例えば羽田や成田に、韓国のあまり知られていないまちから直行便が飛ぶかどうか……普通は飛びませんよね。やはりポテンシャルがあるんですよ」。平瀬さんはちょっぴり自慢そうに話す。

経験全てが今に繋がる

不動産大手の三菱地所を代表に、建設会社や香川県、高松市など6者がつくる高松空港株式会社。平瀬さんは三菱地所出身だ。

三菱地所と言えば、まちづくりのプロフェッショナル。平瀬さんもマンション開発や上海での不動産開発など、様々な“まちづくりの最前線”を歩んできた。中でも印象的な仕事がある。「プロパティマネジメント(PM)」だ。

東京・丸の内で三菱地所が大量に保有する商業ビルやオフィスビルを管理・運営する業務だが、「分かりやすく言うと、“まちの魅力を高める仕事”です。行政やNPO法人と組んでイベントを行うなど、いろいろ仕掛けました」。魅力が増せば、まちの価値が上がり地価が上がる。そうすれば、ビルの価値が上がり賃料も上がる。
「サンポート高松トライアスロン2026」に出場。 ゴールのあなぶきアリーナ香川で=7月5日

「サンポート高松トライアスロン2026」に出場。
ゴールのあなぶきアリーナ香川で=7月5日

“まちの魅力を高める”

「これは高松空港のミッションである「空港から人と街を元気に」にも通じるところがあり、まさに私がやりたいと思っていることです。香川の魅力、四国・瀬戸内の魅力が更にアップすれば、『就航しようか』というエアラインが出てくるかもしれません」

福岡の商業施設運営会社に出向していた際はエリアマネジメント事業に携わり、「地域連携のノウハウや重要性を学びました。三菱地所での経験が今に繋がっている部分は少なくないと思う。もちろん簡単なことではなく、直ぐにとはいかないが、一歩一歩、高松空港の魅力を高めていきたいです」

“面白さ”は心の持ち方次第

好きな言葉がある。

おもしろきこともなき世をおもしろく 住みなすものは心なりけり

幕末の志士・高杉晋作の辞世の句で、女流歌人・野村望東尼との合作とされる。「面白くない世の中を面白くできるかどうかは自分の心の持ち方次第」という意味だ。
順風満帆なことばかりじゃない。そんな時にどう気持ちを持てるか

順風満帆なことばかりじゃない。そんな時にどう気持ちを持てるか

「順風満帆なことばかりじゃない。嫌なこともいっぱいある。そんな時にどう自分で気持ちを持てるか。仕事も会社も自分自身も……全てに通ずると思うんですよね」

高松空港株式会社は、実は設立時から赤字続き。初の黒字化も平瀬さんにとっての大仕事となる。「愛のないコストカットはやりたくない。特効薬はないが、DX等で省力化、省人化も図りながら、旅客数や売り上げを伸ばしていきたいです」

高松市民になってまだ4カ月余り。先月は「サンポート高松トライアスロン」に出場した。

「これからの日々にとてもワクワクしています。社員に信頼されるリーダーを目指し、高松暮らしを全力で面白くしていきます」

平瀬 豪宏 | ひらせ たけひろ

略歴
1966年 横浜市出身
1990年 一橋大学商学部 卒業
     三菱地所株式会社 入社
2008年 三菱地所プロパティマネジメント株式会社
     プロモーション事業部長
2009年 株式会社イムズ 常務取締役
2016年 三菱地所(上海)投資諮絢有限公司 董事長兼総経理
2022年 三菱地所株式会社 協創推進営業部長
2026年 高松空港株式会社 代表取締役社長

高松空港株式会社

住所
香川県高松市香南町岡1312番地7
代表電話番号
087-814-3657
設立
2017年9月11日
社員数
65人
事業内容
高松空港の運営、維持管理、企画、
空港利用者に対するサービス提供 など
株主
三菱地所、大成建設、パシフィックコンサルタンツ
シンボルタワー開発、香川県、高松市
資本金
1億円
路線
国内線:東京(羽田、成田)、沖縄(那覇)
国際線:ソウル、上海、台北、香港、台中、釜山
地図
URL
http://www.takamatsu-airport.com/
確認日
2026.08.06

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