企画、製造、物流…農家と企業のつなぎ役

TKGアグリ 明石 修司さん

Interview

2021.09.02

手にしているのはホウレンソウの粉末。コンセプトショップ「farm to kitchen納屋」で

手にしているのはホウレンソウの粉末。コンセプトショップ「farm to kitchen納屋」で

いちじくの葉のエキスを使った化粧水

いちじくの葉のエキスを使った化粧水

TKGアグリ(観音寺市)が目指すのは、生産者と企画・製造・販売・物流業をつなぐこと。一言で農家といっても企業と同じで、大手から中小など規模は様々。営業や商品企画などを、TKGアグリが生産者に寄り添い進めていく。生産者が集客から販売まで行うマルシェを運営したり、6次産業化を支援したりしている。生産者と飲食業・製造業をマッチングし、新商品も開発。昨年から準備を進め、今年1月に設立した。

明石修司さん(42)は、新卒から大手メーカーに勤めていたが、コロナ禍を機に退職しTKGアグリを設立。「本来、野菜や果物を育てるのは楽しくてワクワクすること。でも仕事となると、販路開拓や収益の確保が難しい。地域の企業がつながることで、解決の道筋をつくりたい」
桃の葉と枝で染めたリネン。「着る野菜」がテーマ

桃の葉と枝で染めたリネン。「着る野菜」がテーマ

8月8日には、コンセプトショップである「farm to kitchen納屋」を高松市に開店した。青果だけでなく、農家ならではの飲食メニューやドライフルーツも販売。おいしい野菜と果物を求めて、個人客に加え、飲食店の仕入れにも使われる。生産者が店頭に立ち、おいしさを直接購入客に伝えるという試みも。オーガニック専門の農家を招いた講座など様々な「教室」も開催。アスパラガス、ナスといった野菜の品評会も実施する。

8月31日「野菜の日」にあわせて、山地蒲鉾(観音寺市)と開発を進めたのが、瀬戸内の魚と観音寺の野菜を使ったプロテインバーだ。魚のすり身に野菜の乾燥粉末を合わせた。野菜を粉末にすることで、そのまま食べるよりも10〜20倍の量を摂取でき、消化吸収も良いという。

SHIGI china kitchen(高松市)とトマト農家とはケチャップを、中国酒家(高松市)とパクチー農家とはパクチーの醤油やオイル、ドレッシングを作った。他にも、まんのう町の「はざまいちじく」の葉を使った化粧水。桃の葉と枝を煮だして染めたリネン。コラボ商品は続々と誕生している。
食べられる花を使った飴は、生花店で販売予定

食べられる花を使った飴は、生花店で販売予定

朝日通商(高松市)と共に取り組むのが、中小企業のためのビジネスコミュニティ「瀬戸内グローカルラボ」。ローカルをグローバルにという考えのもと、香川で朝採れた青果が、24時間後には香港に到着する輸送ルートを確立した。「販路開拓を望む地方の農家と、大手企業がまだ知らない『地域の光る商品』を求めていた地方の物流会社。両者がタッグを組むことで、これまで輸出を諦めていた農家も、簡単に海外進出ができるようになりました」

明石さんが心掛けているのは、感情に左右されないこと。それは経営判断を誤らないためだ。野菜や果物に愛情を持ち「お金のためだけじゃない」という生産者は多い。だからこそ、生産者とは異なる視点で農業に携わる。「自分たちも含め『稼げる農家』をつくっていきたい」

鎌田 佳子

明石 修司|あかいし しゅうじ

略歴
1978年 徳島県生まれ
大学で落石について研究。卒業後、大手メーカーを経て、
2021年 TKGアグリ 設立

株式会社TKGアグリ

住所
香川県観音寺市有明町5‐5‐67
代表電話番号
0875・23・6881
高松支店・farm to kitchen納屋
高松市中野町31‐22
地図
確認日
2021.09.02

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