地震と津波を リアルタイムでモニタリング

DONET(ドゥーネット)

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2018.04.05

設置の様子。漁業活動に影響がないよう水深2000~ 4000mの海底を1mほど掘削してセンサーを埋設。 センサーはチタン容器に入れて保護

設置の様子。漁業活動に影響がないよう水深2000~
4000mの海底を1mほど掘削してセンサーを埋設。
センサーはチタン容器に入れて保護

近い将来起こるといわれている南海トラフ巨大地震に備え、海底の動きをリアルタイムで測定・監視するシステムが開発されている。「DONET」とよばれるこのシステムは、2006年から「海洋研究開発機構」(※注)によってプロジェクトがスタート。立ち上げから中心的な役割を担ったのが現在、香川大学地域強靭化研究センター長を務める金田義行特任教授だ。


「もともと陸上での観測網は整備されていましたが、南海トラフのように海底にあるプレートの変動を正確に把握するには、海からの観測が必要なんです」。現在は「DONET1」を熊野灘に、「DONET2」を紀伊水道から四国沖にかけて設置。51カ所の観測点で“海底の聴診器”が観測している。データは尾鷲市と室戸、海陽町にある陸上の拠点から気象庁などに送られている。

観測点に設置されているのは、強い揺れと人体には感じないゆっくりした揺れを検知する2種の地震計、水晶水圧計など。10年以上観測し続けることで、巨大地震の前兆として海底で何が起こっているのかが分かる。何より、プレート近くにあるため陸上で観測するより早く地震・津波の発生を検知。津波であれば陸上の観測点より約10分早く検知できる。「1分1秒が命の分かれ目になりますから、この時間は大きい」。一方で「いち早く情報を出してもそれを受けた市民の皆さんが、逃げるための行動をすぐに起こしてくれるかどうかが問題」とも指摘する。そのため、センターでは市民の防災意識を高めるようセミナーや講演会を開催している。
観測されたデータをモニタリングする様子

観測されたデータをモニタリングする様子

また、地震・津波を検知した場合、そのデータとあらかじめ準備している1500規模の津波浸水シミュレーションデータベースを使い、リアルタイムで浸水域を予測するシステムを構築している。「この情報は、消防や自衛隊などが救助活動をする際に活用できる。救助者の命を守ることにもつながる」と金田特任教授は言う。昨秋には坂出で、消防隊員を対象にシステムの情報を活用した救助訓練も行われた。

今後は、検知された情報を県や市町、住民へとスムーズに届けるための体制づくりを進め、四国全体での情報共有を目指す。

(※注)2016年から防災科学技術研究所に運用を移管

【問い合わせ】TEL.087・832・1656
【HP】https://www.kagawa-u.ac.jp/iecms/renkei/

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