思い出が詰まった切符はたからもの。電車はたくさんの元気をくれる

DNP西日本 取締役執行役員 雲林院 康さん

Interview

2010.11.18

「これらはほんの一部なんですけどね」と言いながら、DNP西日本取締役執行役員の雲林院 康さんが袋から取り出したものは、鉄道などの切符類。ファイルに整理しきれていない切符が、袋から顔をのぞかせている。

始まりは小学生時代

雲林院さんは鉄道ファンである。鉄道ファンといってもそれぞれの興味の対象は広く、車両、鉄道写真、列車の音、模型・・・・・・と様々だが、「僕の興味は切符と時刻表、そして電車を眺めたり乗ったりすることですね」。

雲林院さんが鉄道切符に興味を持ち始めたのは、小学生低学年の頃。「知り合いの人がたくさん切符を持っていたんですよ。見せてもらった切符に印刷された日本各地の地名を見て、気持ちが動いた・・・・・・」。見たことも聞いたこともない地名に思わず想像力がかき立てられ、どんなところだろう、電車で行ってみたいな。切符にがぜん興味が出た。もともと幼少期から乗り物好きで、「父親の出張みやげにも車のおもちゃを願ってましたから」と雲林院さん。

小学4年のとき、生まれ育った三重県から、父親の転勤で横浜市へ転居したことも、鉄道好きに拍車をかけた。「横浜市内の社宅は、東海道新幹線の新横浜駅の手前にあって、社宅の目の前には新幹線と東横線がクロスしてたんですよ。田舎から出てきて、毎日電車を見ることがとても珍しかったんです。今で言うならトレインビュー。とにかく理屈抜きで、電車は見るのも乗るのも好きでした」。東京から横浜までのブルートレインの切符を買って、わずか30分の旅を楽しんだこともある。「九州までは行けないから、小学生の小遣いで買える範囲でね」

電車好きな少年は、時刻表にも興味を示すようになる。毎月購入し眠る前に読みふけった。友だちと一緒に時刻表作りに熱中したのもこの頃だ。「自分の家を『雲林院駅』、近くの地名も駅にして、オリジナル時刻表を作りましたね」

切符から蘇るのは、その時の風景

現在では、JR、私鉄ともに自動改札化された駅が多くなり、切符の大きさや紙の厚さなどもほとんど画一化されているが、ほんの少し前までの切符には、それぞれの表情があった。「切符は紙が厚い硬券と呼ばれるものがほとんどで、改札も有人改札でした。自分が買った切符が欲しいことを駅員さんに告げると、『無効』のハンコを押してくれてよく貰ったものです。お願いして使用済みの切符をごっそりともらったこともありました。おおらかな時代だったんですね」

雲林院さんは、硬券の特急券や急行券、乗車券、入場券はもちろん、軟券の車内補充券、定期券、旧型マルス端末券(みどりの窓口で販売している座席指定券)などもコレクションしている。「どの切符を見ても、それぞれの思い出があるんですよ。これは小学生時代に祖父母が住んでいた三重県に海水浴に行ったときのだなとか、これは会社の慰安旅行で信州に行ったときのだなとか。手に取ると、さまざまな思い出が蘇るんですよ」。駅ごとに型の違うハサミが入った山手線の切符や、斜めにカットされた小児券。手書きの座席指定特急券を見ると、当時の切符の購入方法なども懐かしく思い出せる。「だからね、捨てられないんですよ」

現在は、四国四県を担当し、本社のある福岡との往復や四国内の出張など、多忙な毎日を過ごす雲林院さん。出張では飛行機利用もあるが、電車に乗ることも多い。「今でも電車は大好きなんです。仕事で疲れていても、やっぱりうきうきできる。頭を整理し気分を一新して、次の仕事に向かうことができる。やはり電車はいいですね」。雲林院さんの元気の源は、やはり鉄道にあるようだ。

雲林院 康 | うんりんいん やすし

略歴
1957年 12月16日 三重県生まれ
1981年 3月 早稲田大学教育学部 卒業
1981年 4月 大日本印刷株式会社 入社
1981年 6月 商印事業部配属(東京)
1995年 4月 同事業部営業課長
2001年 4月 同事業部営業部長
2003年 4月 同事業部営業本部長
2004年 10月 四国事業部営業本部長
2005年 10月 株式会社DNP西日本執行役員
      営業本部長
2010年 6月 同取締役執行役員営業本部長

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