イチゴ戦国時代

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2020.01.16

イチゴ「さぬき姫」

イチゴ「さぬき姫」

一昔前、一般流通するイチゴの品種は「女峰」「さちのか」「とよのか」など、それほど多くはありませんでした。しかしここ数年、とてもたくさんの品種のイチゴが栽培され、果物売り場をにぎわしています。「とちおとめ」「さがほのか」「あまおう」、中には白いイチゴである「初恋のかおり」など、味覚も、甘さ、酸味、香り、歯ごたえなど実に様々で、品種それぞれに全く異なる魅力を持っています。いずれも甲乙つけがたく、イチゴ品種の戦国時代の様相を呈しています。

さて、香川県が平成21年に品種登録した県オリジナル品種が「さぬき姫」です。香川県農業試験場で品種交配の末に誕生した品種で、甘く酸味が少なく、柔らかく、香川県の風土を表すような味覚です。県でも生産振興に力を入れており、平成29年には、栽培面積の約3/4で「さぬき姫」が生産されています。

流通現場でも「さぬき姫」は存在感を放っています。高松市中央卸売市場の市場年報をさかのぼってみると、品種登録された平成21年には、入荷されるイチゴの1/4にとどまっていましたが、その後急激にシェアを増やし、平成30年の「さぬき姫」の占有率は80%を超えました。また、果物の売り上げの1割、取扱額ではトップに上り詰めており、名実ともに香川県の青果物業界のプリンセスと言えるのではないでしょうか。
イチゴの流通量の推移

イチゴの流通量の推移

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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