ものづくりは 人を育てることから

株式会社森川ゲージ製作所 代表取締役社長 森川 正英さん

Interview

2017.07.20

「うちみたいに小さい会社は、大量生産する人も設備もない。だからこそニッチなところを狙って、少量多品種でやっています」。森川ゲージ製作所の3代目・森川正英さん(42)は言う。製品は、大量生産される部品の仕上がりサイズを検査する「ゲージ」をはじめ、建設機械やクレーンの油圧機器、船舶用エンジン部品、食品加工機械、ロボット、介護機器と多岐にわたる。依頼されたら断らずに何とかしようとするうちに、製品の種類が増えていった。他社では製造できない特殊な製品を扱うことも多く、口コミで依頼が寄せられるという。だから、同社には「営業部門」がない。
支えているのは高い技術力だ。精密な仕上げ技術が必要なゲージの製作所として祖父が創業。“仕上げの名人”といわれた祖父の時代からの技術が受け継がれ、社員の中には「現代の名工」で黄綬褒章を受章した人や、高度熟練技能者などもいる。社員の6割が技能検定2級以上を取得している職人集団。しかし高い技術があるゆえに、危機感がなかったと入社当時を振り返る。

「いいものを作りさえすれば良し、という感覚が強かった。技術先行で必要以上に凝った製品を作りたがる人もいました」。ほかにも、仕事の進め方や時間の使い方など社内で変えたいところはあったが、上司や同僚にうまく伝えられなかった。専務になったころには、将来リーダーになってほしいと思っていた若手が何人も退社した。「次期社長である私への失望もあったと思っています。あの時は本当に苦しかった」
社内でのお花見

社内でのお花見

これらの経験を経て、会社の将来や理念を深く考えるようになった。社長に就任してからは、森川ゲージが今まで大切にしてきたこと、目指していることをカードにして全員に配布。そのカードを使って毎日15分間、グループごとにミーティングを行うようにした。自分で考え工夫しながら仕事をする習慣をつけるため、1日1つどんな小さなことでも改善し日報に書くことも徹底した。「特殊な製品を作っていると、どうやればうまくいくのか分からない課題にぶつかります。一見難しいことでも、粘り強く追究していけば、原理・原則的なことの応用で解決できることが大半です。自分なりに仮説を立て、答えが出るまで努力し続けられる人材を増やしていきたい」
職場見学の様子

職場見学の様子

さらに、高い個人技を持つ技術者を育成する一方で、個人技に頼らない仕組みづくりにも取り組んでいる。「会社はチームですから。・・・と言いながら高校時代、野球部でピッチャーをやっていたころはチームのことなんて全く考えてなかったんですけど」。そんな自分自身も成長し、努力し続ける姿を社員に見せたいと言う。
現在、社員の3分の1は地元・三木町出身だ。地元あってこその会社だと思っているから、地元出身者はなるべく受け入れ、専門知識がない人にも技術を一から教育している。香川を思う気持ちも強い。若い世代にものづくりの現場を少しでも知ってほしいと、昨秋には四国職業能力開発大学校からの職場見学を受け入れた。「同級生もそうですが、県外の大学に進学したまま戻らない人が多いのは残念。だからこそ優秀な人材が将来、香川に戻って森川ゲージで働きたいと思えるような会社にしたいですね」(石川恭子)

森川 正英 | もりかわ まさひで

1975年3月 木田郡三木町生まれ
1993年3月 高松高校 卒業
2000年3月 日本大学理工学部 卒業
2000年4月 矢崎化工株式会社 入社
2004年4月 株式会社森川ゲージ製作所 入社
2014年9月 代表取締役社長
写真
森川 正英 | もりかわ まさひで

株式会社森川ゲージ製作所

所在地
[本社・工場]木田郡三木町氷上620
[第2工場]木田郡三木町上高岡432
TEL:087-898-1151(代表)
事業概要
精密機器、油圧・空圧・水圧機器、舶用エンジン機器
食品加工機械、セラミックス製品
園芸機器の設計・製造・販売
資本金
2400万円
従業員
57人
地図
URL
http://www.mg-w.co.jp/
確認日
2018.01.04

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