“袋”が物流や生活スタイルを変える

三和工業

Tec✕Tec

2022.07.21

袋にはさまざまな機能がある

スーパーなどに並ぶスナック菓子の袋は、1枚のフィルムからできているように見えるが1枚ではない。3~5枚のフィルムに熱を加えて貼り合わせ、わずか60ミクロンほどの厚さに仕上げている。フィルムを重ねるのは、袋にいくつもの“機能”を持たせるためだ。

袋にどんな機能が必要かは、内容物が何であるかによって違う。例えばスナック菓子の場合は、工場から輸送、店頭から消費者に届くまで品質を保つよう、酸素や湿気を通さない密封性や遮光性といった機能が必要だ。
三和工業では「軟包装」と呼ばれる柔らかい包材を製造。主にスナック菓子や加工食品の袋などに採用され、大手メーカーからのオーダーも受けている。

多様化するニーズに対応

製造工程は、内容物に合わせた企画デザインから始まる。品質保持のためにどんな機能のフィルムを使い、それをどの順番・方法で貼り合わせるか。フィルムメーカーと協力してフィルムを開発することもある。

品質保持とともに、袋に求められる役割が「購買意欲を高める」こと。食品の場合は特に「食べてみたい」と思わせるデザインや美しい色が重要なポイントだ。発注者がイメージするデザインや色を再現する技術の高さも、三和工業の強みだ。わずかに赤みを強く、黄みを抑えて……シビアな要求に限られた時間の中で対応できるのは、技術者の力。季節限定商品、キャンペーン用といった短いサイクルでの変更にも高い品質で応え、信頼を得ている。

最近は、環境に配慮した包材への要望も増え、重ねるフィルムの一部を紙製にする場合もある。エコの視点は、型抜きした後のごみが出ない切り込み「セイフティノッチ」開発にもつながった。袋を開けやすくするための切り込みには、一般的にV字型やホームベース型などがある。セイフティは、切り込みの位置にあたるスペースに、無数の細かい切れ目を入れた構造だ。フィルムをV字型などに抜く必要がないためごみが出ず、切り込みで指を痛める心配もないのが特徴だ。開発のきっかけは「袋を開ける際の安全性を高めたい」というメーカーからの要望だったが、それに応え、新たな付加価値も創造した。
時代の変化に応える軟包装は、生活を便利に快適にしてくれる。

◆キーワード


ラミネート加工

袋に、品質保持の機能を複数持たせるため、密封性や遮光性といった性質の違うフィルムを何層か重ね合わせて1枚に仕上げる。異なる素材を貼り合わせることをラミネート加工といい、いくつかの加工方法がある。「押し出しラミネート」は、高温で溶かした樹脂を貼り合わせたいフィルムの間に挟み、すぐ冷却して固める。「ドライラミネート」は、フィルムに接着剤を塗り乾燥させた後、熱を加えてフィルムを貼り合わせる。

押し出しラミネートは乾燥工程が必要なく、高速加工が可能。厚みがある素材も加工できる。ドライラミネートは接着強度にすぐれ、耐熱性が必要なレトルト食品などの資材に使われる。


パッケージの役割

包装には品質保持以外にも求められる役割がある。重ねやすい、運びやすい形状で輸送効率を高める、開けやすさなど使用する時の利便性、内容量や原材料といった商品情報を伝え、目を引くデザインや色で購買意欲を高めるといったことが挙げられる。

最近は、環境への配慮というニーズも求められるようになり、時代に応じて包装は進化している。

◆スタッフ・メッセージ

お客さんからいただく課題は、新たな開発につながるヒントだと思っています。要望を試行錯誤しながら形にし、それが全国で販売されることにやりがいを感じます。

パッケージは最終的にごみになりますが、お客さんの幸せを運ぶもの。だからこそ、ますます多様化するニーズに応えられるよう、頭の中にいろいろな引き出し……いや「袋」を持っておきたいですね。

品質管理部 部長
岡山和央さん
大手前高松高校出身

三和工業株式会社

住所
香川県善通寺市仙遊町2丁目5番18号
代表電話番号
0877-75-3606
設立
1965年5月20日
事業内容
合成樹脂包装資材の製造および販売
グラビア印刷・ラミネート 他
資本金
8000万円
工場
椿谷工場、満濃第一工場、満濃第二工場
営業所
東京営業所、仙台営業所
グループ
株式会社三和プロセス
地図
URL
https://sanwa30.co.jp/
確認日
2024.04.18

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