スマホ脳

著:アンデシュ・ハンセン/訳:久山葉子/新潮社

column

2021.04.01

IT

この本が発売されたのは昨年の11月。以来ベストセラーのランキングに入り続け、週間ランキングの一位になったことも何度かあります。スマホはすっかり私たちの生活に浸透して、今ではなくてはならないものになってしまいました。一方でスマホを使い続けることに多数の人が不安を持っていることも確かです。スマホに関する本はたくさん出版されています。この本も現在40万部を超える売れ行きということはその証でしょうか。著者はスウェーデンの精神科医で、今最も注目されている、メンタルヘルスのインフルエンサーです。

「朝起きてまずやるのは、スマホに手を伸ばすこと。一日の最後にやるのはスマホをベッド脇のテーブルに置くこと」「スマホがないと、その人の世界は崩壊する」「時間の無駄だとわかっていても、私たちはスマホを手放すことができない。テレビを見ていても、手が勝手にスマホに向かう。本を読むのは好きだったのに集中するのが難しくなった」など例をあげたらきりがありません。

脳には常に新しい環境を欲しがるドーパミンという物質があり、パソコンやスマホのページをめくるたびに脳は刺激を受けてドーパミンが放出されるといいます。私たちがクリックするのが大好きなのはそのせいです。SNSを開発する多くの企業は行動科学や脳科学の専門家を雇って、そのアプリが効果的に脳の報酬システムを刺激し、そして高い依存性をもたらす研究をしていると著者はいいます。これがここ10年程で人類に大激変をもたらしました。そんな中で生きていくこれからの人達にこそ、ひょっとしたら新人類という言葉が適切なのかも知れません。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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