精神面とキャリア形成
両方をサポートする人材育成

香川鋳造

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2023.11.27

写真左 メンター経験者:CNC班 木内恒太さん、メンティ経験者:造型班稲田凛音さん

写真左 メンター経験者:CNC班 木内恒太さん、メンティ経験者:造型班稲田凛音さん

先輩の職人が集中して鋳造や仕上げ等の作業をしている現場では、若手社員はわからないことがあっても作業を中断して聞きづらい。しかし、疑問をそのままにしてしまうと成長につながらない。そこで香川鋳造では、新入社員の実務理解の向上と社内コミュニケーションの活性化を目指して、メンター制度を2019年に導入した。

メンター制度は、先輩社員(メンター)が新入・若手社員(メンティ)の相談にのり、精神的なサポートをする人材育成法。若手社員の不安や悩みを早めに発見、解決をサポートし離職を防ぐのも目的の一つだ。

他の部署との関わりをつくるため、同社では直属の上司でも同僚でもない“ななめの関係”の他部署の先輩の中から、年齢が近く同じ高校出身、性格的な相性などを考えてメンターを選んでいる。1対1のメンタリングは、入社後3カ月間は2週間に1度、その後は、月1回実施。回を重ねるごとに相談内容から成長がうかがえるという。メンター側も相談に応じることで仕事の見直し、キャリア形成につながっている。

精神的な内容が中心のメンター制度に対し、業務上の成長は入社後3カ月間、毎日必ず1つ質問を書いて直属の上司が答える「研修日報」でフォロー。2つの制度の意義を意識しながら、心身両面で若手社員をサポートしている。

メンターまたはメンティとして、 最初のメンタリングはどうでしたか。

CNC班 木内 恒太さん (志度高校出身/メンター経験者)

CNC班 木内 恒太さん
(志度高校出身/メンター経験者)

【木内】制度を導入した最初の年だったので、どんな風に進めればいいか、聞かれたことにきちんと答えられるか心配でした。ただ、出身高校や相性などを考えて組み合わせを決めてくれていることもあり、雑談も交えながら話をするうちにお互い少しずつ緊張がほぐれていきました。

【稲田】入社前に一番不安だったのは人間関係のことでしたが、実際はまわりの先輩がよく声掛けしてくれたので悩む必要がなくて。そこで最初は「先輩が新人の時、一番大変だったことは何でしたか」という質問をしました。

その後、メンタリングは どんな風に回を重ねていきましたか。

造型班 稲田 凛音さん (石田高校出身/メンティ経験者)

造型班 稲田 凛音さん
(石田高校出身/メンティ経験者)

【稲田】慣れない機械を扱うので、毎日体がしんどかった。仕事が嫌になることもありましたが、メンターに話を聞いてもらってからは「みんな経験することだ」と気が楽になりました。

【木内】様々な部署を経験してきたことを活かしてアドバイスしました。長期休暇前後はケガのリスクが高まる傾向があるので気をつけてとか、業務をひと通り覚えたら自分で考える癖をつけようとか。ただ、回を重ねるごとに仕事より趣味やプライベートの話をすることが増えました。

【稲田】何回かメンタリングした頃、ご飯に連れて行ってもらいました。そこでプライベートの話をしたことで距離が縮まった気がします。

メンタリングを経験して どんな変化がありましたか。

【稲田】自分から気軽に質問できる性格ではないので、定期的に話ができる場があることで精神的に支えられた。業務的なことは、研修日報を通して毎日上司に質問できたのも心強かったです。

【木内】周囲に気を配るようになりました。担当したメンティが、偶然同じ班に異動してきたんですが、常に作業の様子を気にかけたり、声掛けして一緒に帰ったり。自分が周囲の同僚たちに、メンティの人柄などを伝える役割も果たせるのかなと思っています。

【稲田】私もメンターさんが「何かあったらいつでも言って」と気にかけてくれています。自分がメンターになった時は、経験を生かして少しでもメンティの力になりたいと思っています。

高校の時にやっておいた方がいいこと

木内さん
製造現場での「見る、聞く、実践、習得」は学校での勉強や実習に近いところがあります。自分から積極的に見て聞いて、知識の幅を広げるよう意識してほしいです。

稲田さん
先生や先輩と話をする時に敬語をきちんと使っていたことが社会に出て役立っています。相手に合わせた言葉遣いができるようにしておくといいと思います。

◆キーワード


メンター制度

先輩社員(メンター)が新入・若手社員(メンティ)との双方向の対話を通じて、悩みや課題の解決をサポートする人材育成法。メンターは直属の上司や先輩ではなく、異なる部署の先輩社員が基本。メンタリングの内容は守秘義務がある。若手社員の不安や悩みを早めに発見、解決をサポートすることで離職率低下、社内のコミュニケーション活性化にもつながる。制度が定着すれば自然にメンターの役割を果たす人が増え、組織風土となる。

香川鋳造株式会社

住所
香川県さぬき市末371-7 サンテクノシド内
代表電話番号
087・894・7775
設立
1964年
社員数
45名(うち女性6名)
事業内容
建設機械、射出成形機、産業用ロボット向け鋳物部品の製造
資本金
5,600万円
地図
URL
http://kagawa-chuzo.jp/
確認日
2021.08.31

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