技能を“見える化”して伝承
情報共有、目標設定にも活かす

フソウメンテック

Cha✕Cha

2023.11.27

熟練技術者の知見を次世代に伝承するためには、技術やノウハウを資料としてまとめることより、実際に活用していくことが重要だ。フソウメンテックでは「スキルマップ」を導入し、上下水道施設の運転管理、改修・修繕、調査といった業務の中で必要なスキルを洗い出して“見える化”。会社全体がもつ技能を整理して活用している。

スキルマップでは部署ごと、業務ごとに求められるスキルが項目になっており、自分の現状や課題を客観的に把握できる。どんな業務があり、何から始めてどう進めればいいのか、と不安を抱えがちな新入社員にとっても、近い将来、数年後に目指す姿は……と段階的に自分のやるべき業務が見え、それが成長につながっている。

また、活用の一つとして人事評価との連動がある。社員が業務上の目標を立てる際、スキルマップの項目をもとにすればより具体的に適切な目標設定ができる。目標達成のためには何をすればいいか、どんな資格をとるべきか、といったことも理解できる。上司も評価の基準が明確になる。

全社員を対象にした毎月1度の全体周知会では、スキルマップにある業務について各部署から代表者が一人ずつ現状や成果を発表。各部署にどんな人材がいるかを社内で共有できるとともに、プレゼン能力強化の場ともなっている。

今後は、社内の部署ごとでの活用に加え、人材配置、採用など部署を越えた活用の強化を目指している。

スキルマップ導入前は どんな課題がありましたか。

O&M部運転管理課 係長 安部 誠さん(高松工芸高校出身)

O&M部運転管理課 係長
安部 誠さん(高松工芸高校出身)

【安部】業務をしながら先輩から後輩に技術を口頭で伝えるだけでは伝わりづらい、伝えたことが定着しているか見えづらい、会社が持っているすべての技術やノウハウをもれなく伝承するのは難しいといった課題がありました。

【建本】入社当初、作業や点検内容をすべて覚えられるか、そもそもどんな業務があるのか全体的に把握できず不安でした。

【安部】作成の際は各部署の責任者が集まって業務内容をすべて洗い出し、その項目に対して具体的にどんな行動をするかをまとめています。上司と面談しながら経験年数やスキルによってやるべき項目を決め、その習熟度を1~4でチェックしていきます。これさえあれば、初めて赴任した施設でも不安なく業務ができる体制を目指しています。

導入してから どんな変化がありましたか。

O&M部運転管理課 建本 洋仁さん(高松工芸高校出身)

O&M部運転管理課
建本 洋仁さん(高松工芸高校出身)

【建本】言われた業務をやるという意識ではなく、この業務はこういう目的・方法で進めればいいと明確になったので自信をもって作業できるようになりました。苦手な業務や将来必要になるスキルも分かるので、もっとここを勉強しようという意識になりました。

【安部】スキルマップはあくまでも指標の一つですが、上司は必要なスキルに対して客観的に評価ができるようになりました。また、苦手な分野を重点的に教えつつ、得意分野を伸ばす。一人ひとりに合った形で育成ができます。経験年数といった漠然とした基準ではなく、能力や実力に応じてステップアップできると考えています。

今後の活用法について教えてください。

【建本】将来的にやるべき業務の一つに「書類作成」がありますが、あまり得意ではないので頑張りたい。あとは、突発的な作業にも対応できるように。講習会にも参加して知識・技術を伸ばしたいです。

【安部】スキルマップの項目は固定せず、業務に即した内容に定期的に見直ししています。1年に1回しかないというような特別な業務は目標にしづらいですが、項目としては残しておき、施設内・部署内の誰かは必ずできるように、チームとしてすべての業務を網羅できる体制にしておきたいと思います。

高校の時にやっておいた方がいいこと

安部さん
会社では同期も年上の人もいます。高校の時から、先生、先輩、後輩、同級生など様々な年齢の人への言葉使いや挨拶を意識すると社会に出た時に役立ちます。

建本さん
業務の中で、先輩から教えてもらったことをうまく要点をまとめてメモできず苦労しました。高校の時からメモをとる癖をつけるといいと思います。

◆キーワード


人的資源

ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源の中でも重要なのが「人的資源」。職務上必要な知識やスキルは、育成することで大きな価値をもたらす。そのためには、経験や長年の勘に基づく知識や技術、言葉で伝えられない知見「暗黙知」を、言葉や資料として説明し伝えることができる「形式知」にすることが重要。それらの知見を、社内全体で共有することも必要だ。

株式会社フソウメンテック

住所
香川県高松市郷東町792番地105
代表電話番号
087-832-8763
設立
2020年4月1日「扶桑建設工業株式会社」から「フソウメンテック」に社名変更
事業内容
上下水道施設の運転・維持・保守管理
上下水道施設の改修・修繕
上下水道施設の設計・施工 他
資本金
5,000万円(株式会社フソウ100%出資)
地図
URL
http://fusokensetsu.com/
確認日
2020.03.26

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