出荷量増加と減少の社数は拮抗

第10回地ビールメーカー動向調査 東京商工リサーチ

Research

2019.12.05

全国主要地ビールメーカー70社の2019年1~8月の総出荷量は8,966.8kℓ(前年同期比4.0%増)だった。18年同期の出荷量は前年同期比1.0%増と微増だったが、19年は根強い地ビールブームを背景に出荷量を伸ばした。

※本調査は、19年9月1日~25日に全国の主な地ビールメーカー217社を対象にアンケート調査を実施、分析した。出荷量は19年1~8月の出荷量が判明した70社(有効回答率32.2%)を有効回答とした。その他の項目は、回答が得られた73社(有効回答率33.6%)を有効回答とした。

8年連続でエチゴビール

出荷量ランキングは、地ビール醸造では全国第一号のエチゴビール(株)(新潟)が8年連続でトップを守った。出荷量は2,033kℓ(前年同期比3.8%増)と2位以下を大きく引き離した。エチゴビールの阿部誠代表取締役は「輸出に力を入れる。来年10月から段階的に酒税率が変わり、大手を含め大きな(業界動向の)変化が予想される」と、国内需要の先行きに厳しさを見込んでいる。

総出荷量 4.0%増

出荷量が判明した70社の総出荷量は、8,966.8kℓ(前年同期比4.0%増)だった。月別で増加率の最高は1月(前年同月比14.8%増)、次いで2月(同8.3%増)、3月(同7.4%増)の順だった。出荷増加が期待された夏場の8月は、西日本の天候不順、東日本の猛暑の影響を受けて前年同月比7.0%減と伸び悩んだ。

70社のうち、「増加」は38社(構成比54.3%)と6割を割り込んだ。「減少」は29社(同41.4%)で、「横ばい」は3社(同4.3%)だった。19年も18年と同様、増加と減少の社数が拮抗した。

四国は12.8%増

70社の実質本社を地区で分けると、出荷量は9地区のうち7地区で増加、2地区で減少した。増加率トップは九州で、四国は12.8%増(14.4kℓ増)だった。

地ビール、クラフトビールのブームは全国に広がるが、大消費地に近い関東のメーカーが出荷量を増やした。また、販路基盤が弱く固定客が少なかったり、観光客など変動する顧客に依存した地域では、天候が大きな変動要素になっている。

ラグビーW杯に続き、2020年は東京オリンピック・パラリンピック開催など、国際的なイベントが続く。ただ、ある地ビールメーカーの担当者は「大手ビールメーカーを中心にかなりのビール消費があると思うが、その後の消費増税により非常に厳しい状態になると予想する。ビール・発泡酒だけでなく枠を超えた様々なアルコール製造にも挑戦すべき。昨今、輸出市場でさえ厳しい現状」と厳しい現実も直視している。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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