直近1年間で「取引先が廃業」、45.8%の企業が経験~第29回香川県「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査~

東京商工リサーチ

Research

2023.12.07

本調査は8月1日~9日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答59社を集計分析した。
前回(第28回)調査は、2023年6月21日公表(調査期間:2023年6月1日~8日)。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

コロナ禍の影響、前回調査より改善

新型コロナウイルス感染拡大の企業活動への影響について、「継続している」と回答した企業は37.3%で、前回調査(6月)の42.9%から5.6ポイント改善した。しかし、今年7月の売上高が「コロナ禍前(2019年)以上」の企業は50.0%と半数に留まる。また、コロナ禍で取引先の廃業を45.8%の企業が経験し、焦付が生じた企業もある。新型コロナの分類が「5類」に移行し、インバウンド需要も活性化してきたが、コロナ禍以前の業績に戻すのは容易ではないようだ。

仕入先(外注先)の廃業は発注側の業務プロセスに影響を与え、取引に新たなコスト負担も生じる。4割以上の企業が取引先の廃業に直面しており、すでに本格的な「廃業時代」が到来している。企業のサプライチェーン維持に向けた取り組みは、緊急課題でもある。

また、「販売先(得意先)の廃業」は「販売機会の喪失」が大きいが、焦付が生じるケースも少なくない。取引先管理は、倒産だけでなく廃業まで視野に入れることが必要になっている。

取引先に「廃業があった」は45.8%

「仕入先(外注先)の廃業があった」が18.6%(59社中、11社)、「販売先(得意先)の廃業があった」が27.1%(16社)だった。取引先(仕入先・販売先の一方または両方)に廃業があった企業は45.8%(27社)にのぼる。

販売先(得意先)が廃業した際「売上減少」が最多

「販売先(得意先)の廃業があった」と回答した企業のうち、最多は「売上高が減少した」の7社だった。「貸し倒れ(焦付)が発生した」は6社。倒産ではなく廃業でも焦付リスクがあることが浮き彫りになった。

コロナ禍前と比べて、原材料価格や光熱費、人件費など多くのコストが上昇しており、以前の売上高を確保できない場合、生産性や付加価値の創出力が向上していないと赤字に転落(または赤字幅が拡大)する恐れがある。

コロナ禍での手厚い資金繰り支援は大幅に縮小され、緩和的だった金融機関・取引先の与信スタンス、税金や社会保険料の徴収は厳格化しつつある。

コロナ禍前の売上高を確保することは容易ではなく、稼ぐ力の改善や過剰債務への抜本対応がより一層重要になりそうだ。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博

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