抜群のリーダーシップで人材育成にも注力

廣瀬聖士（ひろせ・せいじ）さん／フジタ自動車工業株式会社　製造部部長

Topic

2023.12.07

ものづくり

働き方

人材育成

職人

課題解決

高校を卒業後、車への興味をきっかけに入社して勤続41年。「一品一様」のオーダーメイドでトラックの荷台部分の設計製造を手掛けるフジタ自動車工業で、現在は製造部の部長を務める。

溶接や機械関係の資格・技術は入社してから身につけ、主に雑貨運搬車全般の製造を扱う製造1課で技術を磨いてきた。30年ほど前、スクリーンを備えたステージトラックを四国で初めて手掛けたこともある。アーク溶接が半自動になり、手作業で切断・加工していた工程はレーザー加工になり、職人の感覚に頼っていた部分を0.1ミリ単位のシビアさで機械加工できるようになってゆく製造環境の進化を肌身で知る一人だ。「製造過程の多くを機械が担うようになった今でも、図面を見て溶接の熱でどのくらいひずみが出るかを見極める時など、人間の目や手が必要な部分はあります。製造と設計が密に連携しながら時代に合わせてお客さまのニーズに対応していく柔軟なものづくりは変わりません」。

廣瀬さんが手掛けた車両

仕事への情熱を支えたのは「ものが完成していくのが楽しい」「溶接・加工が好き」という気持ち。先輩のハイレベルな職人技を目標に腕を磨き、34歳で課長に抜擢。周囲の誰もが認めるほど人をまとめる力を発揮し、ライン長を経て4年前に製造部長となった。「チームワークが得意な1課、職人気質の2課、寡黙で真面目な3課、それぞれ個性の違う3つの課をまとめる立場として、みんなに気軽に話してもらえるよう、日頃から声を掛けています」。

定年を控えた今の課題は、自身のノウハウを伝える後進の育成。若手の提案や意見は積極的に実践させて見守るスタンスで、声を上げやすいオープンな雰囲気を醸成し、若手を刺激しようと試行錯誤中。「ものづくりの楽しさ、面白さをのびのびと味わってほしい」と、成長に期待を込める。