「星を継ぐもの」

四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2024.04.18

「なんでも88箇所」の取材は、お人が普段行かない場所への取材が主です。四国の山中のオフロードを四駆で走っておりますと、30年前に単車で走った時にはけもの道に近い未舗装道だった道が、簡易的に舗装されているのによく出くわします。その道路上にある落石や折れた木の枝やクモの巣等の状況からすると、おそらくこの2、3日の間、この道は誰も通っていないであろうことが推察されます。さらに奥に入ると、荒れ果てた畑や一昔前は畑であったような荒れ地で道は消えています。推察するに、数年ほど前までは、この山奥で耕作生活を送っていた方がいて、その方の利便のために10~20年ほど前に舗装整備したのだと思われますが、近年この人はいなくなったのでありましょう。あとには誰も通らない道だけがポツンと残されています。同じようなものが日本中各地にあるでしょう。人は自分達が生きている間のイメージでいろいろなインフラを整備しておりますが、これらが子の代、孫の代、さらには50年後100年後になればどうなっているのでしょうか?

けだし、人は若い頃には自分が壮年になったころを想定して人生計画を立てておりますが、壮年になると今度は自分の死ぬまでのことを考えるようになります。気の利いた人は次の世代のことも考えているでしょう。しかし今の歴史の変動の速さでは、次の次の代のことまでも視野に入れなければなりません。四国も香川も20年後50年後の人口はどうなっているでしょうか?その頃、皆さんの御子孫はどういう場所でどういう生活をしているでしょうか?劇的にライフスタイルを変えない限りは、「補助金でいつかは人口減少がとまるであろう」というような楽観視を続けていくことは出来ないでしょう。今の還暦前後の我々がイメージしている未来と、今の20才代30才代の皆さんがイメージしている未来とは、はたして同じ物でしょうか?また、本日生まれた赤ちゃんがこれから育つにつれて、イメージしていく未来はどのようなものでしょうか?今のおじさん達には、今視ている未来より目線をより先に移し、想像力を働かせていく力がもっともっと必要です。「あとはあとの人達がなんとかするさ。」ではなく「あとの人達がなんとか出来るように」今、考え動いていくことが必要だと思います。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

略歴
1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
    株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任
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四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

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