それでも読書はやめられない 本読みの極意は「守・破・離」にあり

著:勢古 浩爾/NHK出版

column

2020.04.02

新型コロナウイルスによる感染症は、現時点ではその主戦場が中国から欧米に移り、WHOはパンデミックを宣言しました。オーバーシュートやロックダウンという言葉を最近知りましたが、それがどこで起こっても不思議ではない状況です。本紙が出る頃にはどうなっているか予断を許しません。

そんな外出のしにくい時、お勧めしたいのは読書です。学校が一斉休校になり、書店では学習ドリルがよく売れているとテレビや新聞で報道されています。大人の方もぜひ本を手に取っていただきたいと思います。

そこで、今回は名うての市井読書家が送る痛快なる読書一代記を紹介します。ファンタグレープを飲み、肉屋で買ってきた熱々のコロッケを食べながら、毎週「少年マガジン」を読むのが楽しみな大学生だった著者が、どんなきっかけで本の世界にのめり込み、そして70歳を越えた現在、どのような読書生活を送っているのかがつづられています。

著者は本読みの極意は「守・破・離」にあると言います。この言葉は千利休の芸道における成長の段階を意味する教え、とされています。著者はいきなり読書の横道から入り、文学や哲学の名著、名作の道を通り過ぎ、現在はおもしろいと思う本だけを読むという境地にたどり着いています。

「けれど、もう人のことはよい。読書の冬だ。わたしは、できる範囲で、自分の好きに生きていいのである。なんでも好きに読んで、自分に合わなければやめればいいだけのことである」と、名著や名作の呪縛から解放されたと言います。ですが、これが相当に難しいのです。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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