販売不振が最多、不況型倒産が7割超

2019年度四国地区企業倒産状況 東京商工リサーチ

Research

2020.04.16

<特徴>
①件数は前年度比31件の増だったが、5年連続200件割れ
②負債総額は小規模倒産主体だったため、件数増ながら前年度比6億8,400万円減
③件数は全県で増加。負債総額は愛媛、徳島で増加
④販売不振が119件で最多。不況型倒産は145件で構成比72.9%

2019年度の四国地区企業倒産状況(負債総額1,000万円以上、内整理を含む)は、件数199件、負債総額は296億6,600万円で過去10年との比較では9番目と低水準だった。

香川は前年度比8件増

香川は件数63件で前年度比8件増(14.6%増)、負債総額は86億5,200万円で前年度比15億500万円減(14.8%減)だった。過去10年の比較で件数は4番目、負債総額は7番目だった。愛媛は件数47件で前年度比2件増(4.4%増)、負債総額は102億3,900万円で前年度比15億8,500万円増(18.3%増)。高知は件数40件で前年度比5件増(14.3%増)、負債総額は30億4,700万円で前年度比37億9,400万円減(55.5%減)。徳島は件数49件で前年度比16件増(48.5%増)、負債総額は77億2,800万円で前年度比30億3,000万円増(64.5%増)だった。

販売不振が全体の6割

原因別では販売不振が最多。以下、既往のシワ寄せ、他社倒産の余波、過小資本と続いた。不況型倒産は145件、構成比72.9%だった。販売不振が全体の59.8%を占め、不況型倒産の構成比も高水準で定着、引き続き中小企業の経営環境は厳しい様相が垣間見える。

全産業で倒産発生

全10産業で倒産が発生した。サービス業他が48件で最多、以下、製造業38件、建設業33件、小売業30件、卸売業25件、運輸業10件、農・林・漁・鉱業6件、不動産業5件、情報通信業3件、金融・保険業1件だった。
「新型コロナウイルス」感染が全国に拡大、政府が感染拡大防止で大規模なスポーツや文化イベントの中止・延期、規模縮小などの対応を要請して以降、企業活動が制限され、経営体力の乏しい企業への影響が出ている。度合いに濃淡はあるが、特に、飲食業、宿泊業、運輸業、小売業、製造業などは深刻で、今後の中小・零細企業の動向から目が離せない。

2019年後半から増勢が続く企業倒産は、業績改善の遅れた中小・零細企業の「息切れ」が中心だ。事業断念の要因は資金繰りだけでなく、人手不足や後継者難、将来の見通し難などが複層的に絡んでおり、更には「新型コロナウイルス」感染拡大の影響も相まって企業倒産は増勢ペースを持続する可能性が高い。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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