新型コロナウイルスの対策
企業として考えておきたいことは

ビジネス香川編集室

Special

2020.04.16

4月7日、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の拡大を受けて、緊急事態宣言が出された。生活と雇用を守るための緊急経済対策もとりまとめられているが、企業は売上の減少や雇用の継続などの問題に加え、社内で感染者が発生した場合の対応も考えておく必要がある。そこで今回は、感染症に関して企業に関係のある話題をまとめた。(2020年4月10日現在)

社内で感染者発生を想定して、会社は何をするべきか

社内で感染者が発生したら――。まず保健所に連絡? 社員全員が自宅待機か、パソコンなどの備品は持ち出しできないのか……など、疑問が多い。

「まず、感染判明までは表1のような流れになるので、会社から保健所に連絡というケースは考えづらい。陽性判定があった場合、医療機関から本人へ通知があり、本人の行動調査の一環として保健所から会社に調査が入る、という流れになると思います」と県薬務感染症対策課。

感染者発生後、ただちに社員全員が出社停止ということではなく、感染者の行動調査から濃厚接触した人を特定し、取引先に該当者がいれば連絡する、濃厚接触者は感染者と最終接触した日から14日間を目安に自宅待機、必要と認められれば接触者の検査、となる。

パソコンなどの持ち出しについても可否の基準はなく、消毒についても保健所と相談しながら、自分たちで実施する。「消毒は、直接スプレーするとウイルスが飛散するため、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤(主成分が次亜塩素酸ナトリウム)で拭いた後、水拭きすること。その際はマスク、手袋を着用し感染予防を徹底してください」。書類など拭き取りができないものについて、どう対処するかは会社の判断。

テナントとして入居しているビル内の、別のオフィスで感染者が発生したとしても、感染者が立ち寄った場所を通るだけでは濃厚接触にはあたらないという。

いずれにしても、社員で感染者が発生した際に企業がどうすべきか、という明確な基準はなく、保健所と相談しながら会社が判断するというのが現状。そのためには、通常時から換気や手洗い等の感染予防を行うとともに、感染者が発生した時、どのような対応をするかを話し合い、会社の方針、体制づくり、個人としての仕事の進め方をあらかじめ決めておくことが重要だ。その判断の材料として、感染者を増やさないためには、事業を継続していくには、といったことに加えて「企業としての姿勢を地域や社会から見られている」という視点も必要だといえる。

小豆保健所 ☎0879・62・1373  中讃保健所 ☎0877・24・9962 高松市保健所 ☎087・839・2870
東讃保健所 ☎0879・29・8261  西讃保健所 ☎0875・25・2052

現在、企業が直面する課題とは

経済活動にも影響が出る中、企業が直面している課題について、企業から相談が寄せられる行政や金融機関から聞き取り。業種でみると、飲食、製造、卸・小売をはじめ、宿泊、旅客運輸、建設、医療福祉なども。相談内容は主に3つに分けられた。

※相談内容は四国経済産業局、香川労働局、香川県よろず支援拠点、香川県信用保証協会、百十四銀行、香川銀行、高松信用金庫、観音寺信用金庫へのアンケート調査による。
<資金繰り>
・費用をかけて準備をしてきたが、イベントが中止となり見込んでいた売上が大きく減少した。(サービス業)
・ホテルを経営しているが、宿泊客の減少や、宴会自粛により資金繰りが困窮している。(宿泊業)
・将来的に調達が厳しくなる不安から商品在庫を増やしているため、例年以上に資金が必要になっている。(小売業)
・製造した商品を主に海外へ輸出しているが、物流が滞っている。売掛金の回収が遅れ、在庫も増えてきており資金繰りが厳しくなっている。(製造業)
・観光地で娯楽施設の運営や飲食店を経営している。2月からインバウンド客の激減により資金繰りに困っている。(飲食業)
・外食を控える状況、ならびに歓送迎会等のキャンセルも多く、飲食店では来店客が激減しており、資金繰りが厳しくなっている(飲食業)
・キッチンやトイレなど住宅資材の納入が滞り、建物の完成・引き渡しが遅延。代金の回収も遅延している。(建設業)

<雇用>
・複数の店舗で飲食業を経営している。観光地にある店舗を休業し、従業員を休みにするので雇用関係の制度を教えてもらいたい。(飲食業)
・万が一、従業員のコロナ感染で休業に陥った時のために雇用関係の制度を教えてもらいたい。(製造業)

<その他>
・助成金にはどういうものがあるか、助成金の申請方法は?
・イベントを延期すべきか中止すべきか
・明日明後日の生活費に困っているような状況(個人事業主)
・入居する店舗から、経営が芳しくないために家賃の値下げを求められる(ビルオーナー)
・外国人旅行客の激減や出張控え、学校関係の行事中止による団体キャンセルの影響が大きい(宿泊業、旅客運輸業)
・店で物が売れないため、卸業者への発注が少なくなっている(小売業)
・部品提供で提携している中国企業の工場が操業停止となり、生産ができない状態(建設業、製造業)

行政や金融機関による支援

<四国経済産業局>
・事業者支援のための相談窓口を設置 産業部中小企業課 ☎087・811・8529
・新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者が活用できる支援策は、経済産業省のホームページで公表。随時更新されている。
経済産業省の支援策パンフレット

<香川労働局>
・特別労働相談窓口を設置 雇用環境・均等室 ☎087・811・8924

<日本政策金融公庫>
・新型コロナウイルスに関する相談窓口を設置 事業資金相談ダイヤル ☎0120・154・505

<香川県よろず支援拠点>
・土日・祝日対応の経営相談を実施 ☎087・868・6090

<香川県信用保証協会>
・相談窓口を設置
・休日電話相談窓口を設置(9~17時) 事業部 ☎087・851・0062
・セーフティネット保証の拡充
・危機関連保証の実施

<百十四銀行>
・特別相談窓口を各営業店に設置
・休日相談窓口を設置(高松・中讃・岡山の各コンサルティングプラザ)
・114緊急特別融資の取り扱い開始
・日本政策投資銀行との「災害対策業務協力協定」の締結

<香川銀行>
・新型コロナウイルス感染症対応相談窓口を各営業店に設置
・休日相談窓口を設置(高松・丸亀・岡山の各ローンセンター)
・かがわ緊急特別融資の取り扱い開始

<高松信用金庫>
・専門の対応窓口を各営業店に設置
・休日相談窓口を各営業店に設置
・新型コロナウイルス対策緊急融資の取り扱い開始

<観音寺信用金庫>
・専門の対応窓口を各営業店に設置
・休日相談窓口を南支店に設置
・経済対策特別融資の取り扱い開始

※最新情報は各機関に確認を。

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