※2020年2月~2021年3月まで毎月1回実施してきたインターネットによるアンケート調査の全14回分を分析した。
2020年5月は8割が減収、2021年2月も7割以上の企業が減収に
緊急事態宣言が解除された6月以降、減収企業は徐々に減少し、8月からは7割前後で推移した。2回目の緊急事態宣言が発令された2021年1月は72.0%、2月73.8%と1回目の緊急事態宣言下のような減収企業の急増はみられなかったが、約7割の設業者の売上減が1年続いており、経営体力の疲弊が懸念される。
支援策利用は約6割に
だが、6月に22.0%、7月に40.2%と最初の緊急事態宣言が解除された後、支援策の利用企業が急増した。
その後も増加をたどり、2021年3月は57.9%と約6割に達した。
5%が廃業を検討
2021年1月以降は3カ月連続で減少したが、3月に「ある」と回答したのは4.9%で、まだ約5%が廃業を検討している。
全産業と比べ、建設業の廃業検討率は低いが、社数の多い建設業は地域のサプライチェーンを形成しており、廃業動向は地域経済への影響も大きい。
2021年3月のアンケート調査では、2回目の緊急事態宣言で投資意欲の減退、民間工事の計画見直しの影響を懸念する一方、公共工事の発注は変わらず影響はないとする声もある。これは景気対策の公共工事依存の裏返しとも言えるが、同調査では約7割が減収で、約3割は横ばい、もしくは増収で、コロナ禍で格差が広がっている。
コロナの影響はあらゆる業種に広がるが、当初影響が少なかった建設業も例外ではなく、その窮状が次第に顕在化してきた。回復の兆しが不透明ななか、コロナ禍で経営基盤が毀損した企業の休廃業・解散、倒産も現実味を帯びており、地域や雇用などの影響が懸念される。
東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸
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