安いニッポン

中藤玲/日本経済新聞出版

column

2021.06.03

かつて東京は物価が世界一高いと言われた時代がありました。土地でも品物でも何でも高い。東京の土地の値段でアメリカ合衆国全土の土地が買えるとも言われていました。それも今は昔、それから約30年近く経た現在はどうでしょう。

タイトルは「安いニッポン」。日本経済新聞の記事を基に出版された本です。100円ショップ、ユニクロ、回転寿司、日本には驚くほど安い価格で売られている商品が身の回りにあふれています。しかし世界中がそうかというと、どうもそうではないようです。たとえば100円ショップのダイソーは世界に出店しています。中東のUAEにまであるとは知りませんでしたが、100均なのは日本だけだといいます。アメリカや中国では160円、台湾では180円、タイは210円、オーストラリアは220円という具合です。世界で6都市にあるディズニーランドの入園料も世界最安値です。

今の日本はそういったことに象徴されるように、我慢して貯めるか、じり貧で使うしかなくなってしまっていると著者はいいます。新型コロナによる感染が起こる前、この香川でもたくさんの外国人がインバウンドで訪れていましたが、ある家電販売店の人がつぶやいていたように、「彼らは日本が素晴らしいから何度も来ているんじゃない。お買い得だから来ているんだ」なのでしょうか。安さは収益を生まないので賃金が増えない。デフレスパイラルに陥り、新しいイノベーションは生まれないといいます。今の日本がここから抜け出す方法はあるのでしょうか。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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