オリーブな年

日本銀行 高松支店長 高田 英樹

column

2022.01.06

新しい年になりました。本年もよろしくお願いします。

私にとって昨年は、5月に香川県に赴任し、これまでの人生で最も多くオリーブや関連食品を食べた年でした。オリーブオイルにオリーブの新漬け、牛や豚に、ブリ、ハマチ、タイと盛り沢山。

愛知県の田舎の私の実家では、子どもの頃、オリーブは食卓に上った記憶がありません。中高生の頃までは、ノアの箱舟の話からオリーブは平和の象徴というイメージを持っていた程度で、味は勿論、実の形も知らなかったと思います。そんな私ですが、昨秋のオリーブ収穫期に小豆島に観光に行き、オリーブオイルの生産の様子の見学やテイスティングをさせて頂きました。

無知をさらけ出すようですが、その時初めて知ったのは、オリーブには幾つも種類があり、種類毎にオリーブオイルの味も違うことです。お米やぶどうは幾つも種類があり、それぞれ味が異なるのですから、オリーブも同じと言えばそれまでですが、オリーブ経験値が低い私は考えたことがありませんでした。

収穫のタイミングによっても味は変わるそうで、原料のぶどうの種類等によって味が違うワインを楽しむように、オリーブオイルもそうした楽しみ方が出来るというのは新鮮でした。オリーブの新漬けも何種類かを買って食べ比べると、確かにそれぞれ味が違い、それも楽しい経験でした。

無知の披露ついでに、同じ種類の実から作ったオリーブオイルでも、搾りたてと1年後では味の鮮烈さが全然違うことも初めて知りました。作ってから時間が経てば、食品ごとに熟成・劣化の違いはあれど、味が変わるのは当然といえば当然ですが、こんなに違うとは以前は考えてもみませんでした。オリーブの楽しみ方が少し上手になった気がします。

香川県に来てオリーブは私にとって身近な存在になったと思っていましたが、身近なところにも普段深く考えずに見過ごしている価値があるものです。きっとオリーブ以外にも、日頃見過ごしている様々な価値が潜んでいると思います。生活や仕事をより良くしていく鍵は、身近なところに眠っていることが意外に多いのではないでしょうか。オリーブの花言葉には「平和」のほかに「知恵」もあります。オリーブが気付かせてくれた知恵を忘れず、これからも新たな気持ちで物事を見て触れて考えて、楽しみを増やしていきたいと思います。

本年が、オリーブが象徴する平和を伴う良い年になりますように。

高田 英樹|たかだ ひでき

略歴
1972年 愛知県生まれ
1995年 東京大学経済学部 卒業
     日本銀行 入行
2007年 金融市場局企画役
2009年 金融庁へ出向
2011年 政策委員会室企画役
2013年 金融市場局企画役
2016年 政策委員会室経理課長
2018年 金融市場局総務課長
2019年 総務人事局人事課長
2020年 総務人事局総務課長
2021年 高松支店長
写真
高田 英樹|たかだ ひでき

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