「ナラティブ」の共有で変化を生み出す

株式会社人生百年サポート代表取締役 十川 美加

column

2022.11.03

「ナラティブ」という言葉を、最近メディア等でよく耳にするようになりました。「物語」「語り」であり、語り手自身を主役とした物語という意味です。ストーリーとの違いは、登場人物や起承転結がなく、基本的に語り手自身が主役となる自由な物語です。詳しい説明は検索などしていただくということで省略いたしますが、今回ビジネスでの「ナラティブ」活用についてご紹介したいと思います。

まず「ナラティブアプローチ」ですが、カウンセリング時に、患者自身に自分の物語を語らせ、問題の原因となっている否定的な思い込みを発見し、それを肯定的な内容に書き換えることで、抱えている問題を解決しようとするアプローチのことです。ネガティブをポジティブに置き換える、例えば上司と部下との関係で、「上司はいつも指示だけで、親身に教えてもらったことがない」と部下が不満に思っていることをポジティブに書き換えると、「上司は部下を信頼しており能力があるから任せている」と書き換えることができます。そうすると不満からやる気に変化できる可能性が出てきます。部下の話(物語)を傾聴し、問題を客観的に考えるように促します。

次に「ナラティブマーケティング」について、顧客自身が主人公となるような物語を企業側が体験させていくマーケティング手法です。これまでの広告は、企業側から一方的に商品のメリットや特徴を顧客にアピールして、「これは素晴らしいものだ!」と顧客のことを考えずに伝えていました。現在SNSを通してコミュニケーションが多様化し、企業と消費者の間にある壁がなくなってきているため、「ナラティブマーケティング」は顧客と対話する双方向のコミュニケーションとして有効になってきています。私共が運営している「まごころサポート」(高齢者生活支援サポート)をこれまでのマーケティングでアプローチすると、例えば「お掃除、草刈キャンペーンにつき、いつもの半額」などは、顧客が掃除や草刈りの必要がないと思うと見向きもしてくれません。それを対話型の「ナラティブアプローチ」を活用することで、シニアに語ってもらい、共感しながら聞くことで、本当に困っている必要なことを明らかにし、解決する提案ができます。ナラティブマーケティングは、未来は自分自身で決定できる、ということを顧客に理解してもらうことです。これからは、今以上に双方向のコミュニケーションが色々な場面で重要になってくると思います。

株式会社人生百年サポート 代表取締役 十川 美加

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