優しい気持で 易しいソフトウエアを

コヤマ・システム 代表取締役 小山 敏則さん

Interview

2014.09.18

コヤマ・システムのみなさん。前列中央が小山さん

コヤマ・システムのみなさん。前列中央が小山さん

「株式会社コヤマ・システムは、主に工場の生産設備や品質管理を行うソフトウエアの開発をしている。代表取締役の小山敏則さん(65)は「大切なのは、お客様の仕事をいかに理解するか。自分たちが作りやすいものよりも、お客様が使いやすいものを作りたい」と話す。
「ソフトを開発するときは、お客様が使う場面を想像しながら作ります。同じ会社でも、新人とベテランなど人によって、使い勝手の良さは違いますから」。小山さんの考える使いやすさとは、誤入力などの人的ミスを早い段階でカバーできるもの。仕事の流れを理解した上で、思い描くソフトの完成図を顧客と共有する。

以前は受託開発が中心だったが、現在は自社製品の開発にも力を入れている。きっかけは、リーマン・ショックで売上が減少したこと。「力を試すときだと思いました。受託開発はどうしても受け身の姿勢になってしまいます。『こんなソフトができるんだ』と、どんどん提案できる企業になれたら。マーケティングは弱いと言っていられません」

自社製品を形にしたいと考えていたころ、牧場からの「牛一頭一頭を管理したい」という声に応えて、牛の耳札の個体識別番号を簡単に読み取れるシステムを開発した。そのとき、初めて削蹄師という職業を知った。

削蹄師は牛のひづめを定期的に整えて、体調を管理する。ひづめの状態や施した処置をメモしておいて、作業が全て終わってから報告書を手書きで作成しなければならなかった。作業の負担を軽減しようと、削蹄師との共同開発で誕生したのが、日本初の削蹄電子カルテ「削レポ」だ。

削レポをインストールしたタブレット端末があれば、牛を観察しながら電子カルテに記入できる。画面には、ひづめのイラストが表示され、細かい部分ごとに観察結果の入力が可能。2013年に販売を開始した。「今後は集めたデータをもとに、一頭ずつではなく『群管理』できるようにしたい」。牧場や地域ごとなど「群れ」の傾向を把握できるようなシステムを開発中だ。

自社製品は、削レポに「Rekamo」と「破砕片選別機」を加えた3本柱が中心。「Rekamo」は言わば生産設備のドライブレコーダー。ハイスピードカメラで生産ラインの動きをとらえ、一時的なトラブルで設備や作業が停止する「チョコ停」の原因解明に役立つ。

「破砕片選別機」はリサイクル業者向けのもので、処分する家電製品の部品をプラスチックと金属に分ける。人の手では取れない小さなものを選別でき、識別率のさらなるアップを目指している。
コヤマ・システムの基本理念は「幸せづくり、ひとづくり」。小山さんの幸せは、社員が成長すること。「植物は同じ種でも生育環境が違えば実りも違う。人も環境が大事。チャンスを準備し、学ぶ姿勢を忘れない。そんな『ひとづくり』をすることが幸せづくりにもつながるのでは」

目標は社員50人規模の企業。「50人いれば、世代交代がスムーズにできます。しかし、会社の規模は自分ではなく、社会のニーズが決めるもの。いつまでも役立ち、必要とされなければなりませんね。オーケストラのような企業でありたい」

いろいろな楽器があるように、一人一人の個性を生かしながら、全体としての調和が取れている。そして、たまにはソロ演奏のように一人がスポットライトを浴びる。それが小山さんの理想。

優しい気持ちで作る、易しいソフトは、今後もまだまだ誕生しそうだ。

小山 敏則 | こやま としのり

1948年11月 さぬき市寒川町生まれ
1967年3月 株式会社弘陽商会 入社
1970年3月 香川県立高等技術学校 高松校電子科 卒業
1970年4月 新興サービス株式会社 入社
1985年1月 コヤマ・システム 創業
1989年11月 株式会社コヤマ・システム 代表取締役 就任
写真
小山 敏則 | こやま としのり

株式会社コヤマ・システム

所在地
高松市林町2545番地3
TEL
087-867-1721
FAX
087-867-4410
事業の概要
産業用途で使用されるソフトウエアの受託開発など
資本金
1000万円
社員数
21名(内役員3名)
確認日
2018.01.04

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