目からうろこのミュージアム! ~いろ・かたち、わくわくのひみつ~

香川県立ミュージアム 岡本 由貴子

column

2018.08.02

<写真1>白無垢 昭和時代(香川県立ミュージアム蔵)

<写真1>白無垢 昭和時代(香川県立ミュージアム蔵)

香川県立ミュージアムの開館10周年を記念し、ミュージアム学芸員“イチオシ”の、目からうろこの収蔵品を2つの会期に分けて紹介する展示を企画している。8月4日から始まるPartⅠのテーマは「いろ・かたち、わくわくのひみつ」。日本で古くから取り入れられてきた色、赤・黒・白・金のもの、変わった形や面白い形の資料・作品から、色と形の魅力と不思議に迫る。

写真1は、現在も婚礼の際に花嫁が着る白無垢。室町時代に書かれた武家の故実書「嫁入記」に、衣裳は上着に白い小袖を羽織るとあることから、当時の婚礼では、すでに白無垢を用いていたことが分かる。ではなぜ花嫁衣装は白なのだろうか。嫁ぎ先の色に染まりますという説もあるが、白は清らかで穢(けが)れのない色、また“死”や“他界”を示す色ともとらえられていた。女性は相手の家に嫁ぐ際一度死に、婚家の嫁として新たに生まれ変わると考えられていたため、“死”を象徴する白を身に付けるようになったようだ。花嫁の衣装に“死”という意味合いがあったことには少しショックを受けるが、現在では当たり前の風習も、時代によって少しずつ変化してきていることを感じていただければと思う。
<写真2>備前焼甲冑香炉 江戸時代  高松松平家歴史資料 (香川県立ミュージアム保管)

<写真2>備前焼甲冑香炉 江戸時代 
高松松平家歴史資料
(香川県立ミュージアム保管)

写真2は、一見すると置物のようだが、実は兜と面頬(めんぼう)、甲冑櫃(ひつ)をデザインした香炉である。岡山藩3代藩主・池田光政(みつまさ)の好みで作られ、7代藩主・治政(はるまさ)により高松松平家に贈られたと伝えられている。使用する際は、兜の部分を外し中に香を入れて焚く。少しゆがんだ口元や真っ暗な目元がなんとも怪しい雰囲気を醸し出し、そこから香の煙が上がる様子を想像すると少し不気味だが、現代の私たちが見ても斬新なデザインで見るものを惹きつける。

そのほかにも、色と形にまつわる収蔵品約100点を展示する。PartⅡでは「いつものくらしこれ、いいね。」として、ちょっと昔の衣・食・住に関わる資料をオシャレでモダンに展示する。こちらも合わせて、ミュージアムのコレクションを体感してほしい。

「香川県立ミュージアム10周年記念コレクション展 目からうろこのミュージアム!」

PartⅠ ~いろ・かたち、わくわくのひみつ~
【と き】8月4日(土)~9月24日(月・振休)
【ところ】香川県立ミュージアム(高松市玉藻町5-5)
【入場料】一般500円(PartⅡと共通800円)、高校生以下、65歳以上無料

PartⅡ ~いつものくらしこれ、いいね。~
※PartⅡは10月2日(火)~11月25日(日)開催

香川県立ミュージアム 岡本 由貴子

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