被災地域に企業は17万2,128社

「平成30年7月豪雨」緊急企画 東京商工リサーチ

Research

2018.08.16

西日本を中心に降り続いた記録的な豪雨は、広島県や岡山県、愛媛県など各地で多数の死者・行方不明者を出し、深刻な被害をもたらした。

東京商工リサーチは、「平成30年7月豪雨」の被災地域、8府県58市36町4村に本社を置く企業を調査した。被災地域に本社を置く企業は17万2,128社で、従業員数は175万1,534人。このうち自治体や大手企業を除く、資本金1億円未満の企業では127万4,391人に達している。

※東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベース(約480万社)のうち、被災地域に実質本社を置き、消滅型倒産(破産、特別清算等)、休廃業・解散を除いた生存企業を抽出、分析。被災地域は7月9日、内閣府(防災担当)が発表した「平成30年台風第7号及び前線等に伴う大雨による災害にかかる災害救助法の適用について【第9報】」に基づく。岡山県倉敷市や愛媛県宇和島市など西日本を中心に8府県58市36町4村を分析対象にした。

産業別「サービス業他」が最多

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

被災地域に本社を置く17万2,128社のうち、産業別で最多は「サービス業他」の5万9,000社(構成比34.2%)だった。次いで、建設業、小売業、製造業と続く。

人的被害が大きかった広島、岡山、愛媛の3県では、愛媛は「サービス業他」の構成比が29.4%と、唯一30%を切っている一方で、製造業は12.7%(8,124社中1,034社)に上り、ほかの2県を3ポイントほど上回った。

業種別「総合工事業」が最多

産業を細分化した業種別では、最多は「総合工事業」の1万6,810社(構成比9.7%)。被災地の復興、復旧工事に必要な建設機械などを持つ建設業の被災は大きな痛手になっている。次いで、とびや板金、塗装工事など「職別工事業」の1万1,207社、病院や診療所、歯科などが含まれる「医療業」の9,567社と続く。小売業や飲食業など一般消費者を対象とする企業も多い。被災地域までの物流の混乱は、コンビニやスーパーなど、消費者に密接な商品を扱う店舗で日ごとに影響が広がっている可能性がある。

資本金1億円未満が99.2%

東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

資本金別でみると、最多は「100万円以上1,000万円未満」の7万3,279社(構成比42.5%)。次いで「個人企業他」の4万3,767社(同25.4%)、「1,000万円以上5,000万円未満」の4万2,409社(同24.6%)。「個人企業他」を含む資本金1億円未満の企業は17万854社(同99.2%)に上っており、被災地域の企業は中小・零細規模が多いことがわかった。
被災地域に本社を置く企業は中小・零細企業が中心で、建設業や製造業など地元経済に密着した企業が多い。個々の企業規模は小さくても、資本金1億円未満の企業の従業員総数は100万人を超えており、地域への影響は決して無視できない。「平成30年7月豪雨」への支援策は、緊急避難的には直接被災した企業が中心となるが、被災企業と取引のある企業など、間接的な影響まで含めたプッシュ型の支援策が急務になっている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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