新商品は発想の転換から 香大ブランドワイン

香川大学農学部 新品種ブドウ「香大農R-1」

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2017.05.04

ブドウは、気温が高すぎるとキレイに色づかない。たとえ味がよくても色が薄いと高く売れない。そこで、目指したのは暑くても退色しない生食用ブドウ品種の開発だ。沖縄に自生する野生種「リュウキュウガネブ」とマスカットを交配し種を得て3年後、暑い夏でも鮮やかな色の実がついた。しかし、実は野生種のように小さく生食用には向かなかった。色も味も申し分ないのに、何とかできないか。悩んだ末、品種改良を重ねるのではなく、この品種をそのまま生かすにはどうするべきか考え、ワインにたどり着く。

かかわったのは香川県や県内の生産者をはじめ、香川大学の片岡郁雄農学部長、日本の野生ブドウを研究している望岡亮介農場長、食味評価でひたすらブドウを食べた学生たち。それに、さぬきワイナリー(さぬき市)だ。ワイナリーでは当時、目玉となるワイン開発を検討していたため、地元大学発の新品種という話題性、抗酸化作用があるポリフェノールなどを多く含む点も原料として魅力的だった。こうして交配から10年以上たった2006年、ワインは誕生した。

果樹の品種登録からワインの商標登録まで携わった片岡学部長は言う。「農業の世界では『品種に勝る技術なし』だ」と。いい品種とそれを最大限に生かす技術があれば、香川が産地として国内外に認められる可能性がある。温暖化が進む今、R-1ブドウが暑さに強い品種として世界中のメーカーで使われる日がくるかもしれない。

お問い合わせ:TEL:087-891-3008
HP:http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/

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