リアルな「今」の言葉で味わう万葉の世界

令和言葉・奈良弁で訳した万葉集シリーズ/株式会社万葉社

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2024.03.07

ハッシュタグ、顔文字、即レス、既読スルー…SNS世代をはじめとする現代の若者言葉で翻訳された万葉の心。当時の首都・奈良の言葉を「標準語」として、これまでにないアプローチで万葉集の現代語訳を試みているのが「令和言葉・奈良弁で訳した万葉集」シリーズだ。

雑誌や漫画をヒントに言葉を選ぶ親しみやすい切り口が広く人気を呼び、学生が修学旅行で爆買いしたり、「孫と読んでいる」という祖父母世代の声が寄せられたり、学者層からも「理に適っている」と好評だという。言葉を選ぶ時に著者の佐々木良さんが重視するのは、歌に詠まれた距離感だ。「馬で会いに行くという歌なら、馬が車なのか新幹線なのかサンダーバードなのか、二人の位置や距離をすごく考えます」。

同社は2020年、かがわ産業支援財団の支援などを活用して設立。21年に出版した「令和万葉集」「令和古事記」に続いて、22年から「令和言葉・奈良弁で訳した万葉集」シリーズの刊行を始めた。1巻は17万部、2巻も6万部を売り上げ、3巻を今年2月に刊行したばかり。1冊あたり90首ほどを収録し、万葉集に収められた4500首を約50巻にまとめる計画だ。「普通に考えると3~40年かかることになりますね」と佐々木さん。「その間、言葉はどんどん変化していくでしょう。消えてしまった言葉がどんな風に使われていたのか、わからなくなることも多い。このシリーズは、巷にあふれるリアルタイムの言葉の記録、特に若者世代の文化の記録にもなると思っています」。

株式会社万葉社
info@manyousha.com

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