県産素材を使った特別な醤油で、新たなファンを増やす

醤油は毎日の料理に普段使いするもの――というイメージとは違う“特別な”醤油として6月に発売された「旨み薫る燻製醤油」。材料に伊吹イリコ、香川本鷹、讃岐はちみつを使い、通常の2倍以上の時間をかけて造る老舗の自信作だ。

専務取締役･宮地正和さんは、醤油全体の消費量が落ち込む中、今の食生活に合うように、かけるだけ、混ぜるだけのだし醤油やポン酢といった加工品の製造にも力を入れてきた。「そのノウハウを生かしてもっと特徴ある商品を、と開発を始めたのが燻製醤油でした」

まずこだわったのは県産素材を使うこと。さらに、知り合いの料理人からのアイデアをもとに燻製に挑戦しようと決めた。ベースとなる醤油づくりから始め、素材のうま味を引き出す方法、混ぜる割合、燻製チップの種類、燻製の時間など、2年かけて試行錯誤。独自の熟成方法で、かけるだけで燻製の香りが広がる新たな商品が完成した。

「これだ、という味と香りに仕上げるのも難しかったのですが、それを大量生産するノウハウを確立するのも苦労しました」。技術課題の解決や商品のブランディングなどは、かがわ産業支援財団の支援制度を活用。クラウドファンディングを利用して試験販売をしたところ、早々に売り切れた。