2022年度計画は、製造業が牽引し、全産業では3年ぶりの増加
~四国地域 設備投資計画調査~

日本政策投資銀行四国支店

Research

2022.10.20

調査概要

(株)日本政策投資銀行四国支店(以下「DBJ四国支店」という)は毎年、四国地域における企業の設備投資動向についてアンケート調査を公表している。原則、資本金1億円以上の民間企業を対象とし、全国の回答企業(5,493社)を対象に四国地域で実施される設備投資額を集計したものである。2022年8月に公表した調査では、四国地域に設備投資を実施すると回答した企業は348社であった。

製造業は増加、非製造業は減少

今年の調査では、四国地域の2022年度計画は製造業で14.0%増、非製造業で11.9%減、全産業では7.5%増の見通しとなった。

業種別にみると、製造業では、次世代車向けの製品高度化投資などにより非鉄金属が大きく増加することに加え、化学や繊維も高機能素材や脱炭素対応投資などにより増加するため、製造業全体では二桁増となる。非製造業では、商業施設新設や安全対策投資などにより運輸が増加するものの、前年度からの大規模店舗改装が一段落する不動産、エネルギー関連の大型投資が一服するガス、南海トラフ対応などの大型投資が落ち着く通信・情報が減少することから、非製造業全体では二桁減となる。

高機能・高付加価値型の投資が継続

四国地域には、サプライチェーンの上流部に位置する素材系の産業が集積しており、将来を見据えて研究開発型の投資を行っている企業が多く見られる。そのため、中長期的に社会構造の変化に対応するものや需要の裏付けがあるものなど、次世代・高機能・高付加価値型の投資が継続しており、四国地域の設備投資マインドは堅調であるといえる。

脱炭素対応、デジタル化、レジリエンス関連投資の広がり

2022年度計画では、脱炭素やデジタル化に向けた投資が複数計画されているほか、地域固有の防災・BCPを意識したレジリエンス関連投資に広がりが見られた。

脱炭素対応投資では、幅広い業種において再エネ発電設備や省エネ機器の導入が計画されているほか、次世代車向け部材の能力増強などが旺盛となっている。デジタル化投資では、生産現場のスマート化や省人化・自動技術の導入が加速しつつあり、DXに向けた準備段階の投資を行っている企業が複数見られた。またレジリエンス関連投資では、南海トラフ地震に対応するべく幅広い業種において耐震化などの災害対応投資が計画されているほか、新工場建設や物流拠点新設など仕入調達先や拠点の分散・多様化を実施する動きも見られる。

今後のリスクは

カーボンニュートラルやDXといった世界的な産業潮流を踏まえ、今後は脱炭素対応投資やデジタル化投資が加速するほか、防災・BCPや経済安全保障の側面からレジリエンス強化を図る動きが拡大するものと思われる。

一方で、懸念材料としてはコロナ禍の長期化に加え、ウクライナ危機、資源価格の高騰および為替の急変動など、リスクの多様化に伴う国内外の経済の不透明感が挙げられる。DBJ四国支店は、供給制約や資源価格などの高騰が設備投資に与える影響について注視していくとともに、その先を見据えた前向きな投資をサポートしていきたい。

日本政策投資銀行四国支店 企画調査課 進 沙也加

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ