「もはやコロナ禍ではない」が67.9% 廃業検討率は上昇
第24回香川県「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査

東京商工リサーチ

Research

2022.12.01

◇調査結果のポイント◇

・コロナ禍の「影響が継続」が73.2%。前回調査から3.3ポイント改善
・「もはやコロナ禍ではない」が67.9%
・中小企業の廃業検討率は6.0%で、前回調査から0.9ポイント悪化
・9月の売上高、55.6%がコロナ前に届かず

コロナ禍への現状認識

コロナ禍への現状認識を聞いたところ、「もはやコロナ禍ではない」と回答した企業が67.9%にのぼった。内訳は「もはやコロナ禍ではなく、コロナ以外の環境変化への対応が急務だ」が56.6%、「もはやコロナ禍ではなく、事業環境は平時を取り戻した」は11.3%だった。

一方、「コロナ禍真っただ中で、コロナ以外の環境変化への対応も急務だ」は32.1%だった。

コロナ以外の要因も

コロナ禍も丸3年を迎えようとしている。感染防止への取り組みの浸透に加え、働き方やサプライチェーン維持に、各企業は多大な努力を重ねている。こうした積み重ねが回答結果に繋がったとみられる。ただ、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇、急速な円安など企業を取り巻く環境が悪化しており、これらがコロナ禍の影響を薄らいでみせている可能性も否めない。

一方、9月の売上高がコロナ前の2019年9月に戻した企業は44.4%にとどまった。ロシアのウクライナ侵攻や経済が動き出したことに伴う人手不足など、経営環境は新たな段階に突入し、コロナ以外の要因も企業活動の妨げになっている。

コロナ支援の主要施策で今年9月に受付が終了した「実質無利子無担保(ゼロ・ゼロ)融資」について、「借換ニーズがある」と回答した企業は10.5%にのぼった。ゼロ・ゼロ融資の今年6月末の利用額は全国42兆円で、企業により調達額は異なるが、単純な「借換ニーズ」額は3兆円を超える。22年度上半期(4-9月)の全国企業倒産は3,141件(前年同期比6.9%増)で、3年ぶりに増加に転じ、6カ月連続で前年同月を上回っている。企業の資金枯渇にも留意が必要だ。

コロナ禍の企業倒産は資金繰り支援で抑制されてきたが、ここにきて反転増に転じて支援の副反応も目立ち始めている。年末、年度末の資金需要期を前に、円安を始めとする深刻なコストプッシュ要因が絡まった「複合危機」への対応が急務になってきた。

本調査は10月3日~12日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答56社を集計分析した。
前回(第23回)調査は、2022年8月22日公表(調査期間:2022年8月1日~9日)。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 有馬知樹

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ