「歴史と伝統」受け継ぐ女性総支配人の挑戦

高松国際ホテル 総支配人 新川 美香さん

Interview

2023.07.06

高松市木太町の高松国際ホテル

高松市木太町の高松国際ホテル

焦らず「お客様最優先」で

高松国際ホテルへの想いが満ち溢れている。

今年4月、女性初の高松国際ホテル総支配人になった新川美香さん。新川さんにとって“総支配人”は一つの目標だった。「目標が実現できたこと、そして総支配人として新たにチャレンジできることにやりがいを感じています」

“高松の迎賓館”、“四国初の本格的シティホテル”、“歴史と伝統”、そして“格式”……高松国際ホテルを形容する言葉は多い。「確かにプレッシャーはあります。でも『お客様に喜んでもらうこと』を最優先に考え、焦らずにやっていきます」
「ぐりる屋島」で開催中の「ハワイアンビアガーデン」 8月31日まで(月曜定休・前日までに要予約)

「ぐりる屋島」で開催中の「ハワイアンビアガーデン」
8月31日まで(月曜定休・前日までに要予約)

女性だから、と特に意識はしない。でも、「『女性目線』は大事にしたいと思っています」

現在開催中の「ハワイアンビアガーデン」は新川さんが考案した企画だ。

牛カルビのソテーやカットステーキ、120分飲み放題のドリンクに、オリジナルカクテル……華やかでトロピカルな“非日常空間”を演出し「インスタ映えスポットも工夫。女性のお客様に是非楽しんでほしいと思います」

新型コロナの影響も落ち着き、実に4年ぶりにビュッフェスタイルも復活。女性10人を含む予約には、曜日限定でお得な割引価格も設定している。

「ホテルの夏といえば、やはりビアガーデン。久しぶりに開放的な雰囲気が戻り、とても期待しています」

「諦めなくて良かった」

新川さんと高松国際ホテルには、ただならぬ縁もある。ホテルが開業したのは1964年10月3日。「私、同じ月に生まれたんですよ」

元々、人と話をするのが好きで、毎日に変化がある接客業を志望。83年に株式会社高松国際ホテルに入社した。ホテルのレストラン「ぐりる屋島」でサービスの基本を学び、婚礼営業の時は「週末に1日5件のウェディングは当たり前。入社当時は“巫女”として神前式の進行役も務めました」と楽しそうに当時を振り返る。

だが、その後は紆余曲折の連続だった。2001年、高松国際ホテルは運営会社の倒産に伴い、民事再生法の適用を申請。県内屈指の老舗ホテルの経営破綻に衝撃が走った。「ショックでした。今でも昨日のことのように覚えています」。ホテルを退社するか、運営を引き継ぐ穴吹エンタープライズに移るか、決断を迫られたが、「すでに予約されていた婚礼や宴会も多く、対応に追われる日々が続く中、『新川さんがやってくれるなら』と変わらず利用を続けてくださるお客様も多くいました」。ホテルに残る。迷いは一切なかった。

穴吹エンタープライズ入社後は、高松国際ホテルの婚礼営業を中心に系列ホテルの宴会営業もサポート。その後、全社をまとめる総合企画室長を経験した。サービスエリア&リゾート事業部への異動では、県内外の観光客誘致に向けて営業展開を行い現在に至る。

婚礼営業の管理職ポストに就いた時は、「遠慮もあって部下になかなか言いたいことが言えず……」。営業で忙しさは増すばかり。家庭もある。「このまま管理職を続けるのは難しいのでは」と悩む日々が続いた。

だが、「自分の思う道を進めばいい」と夫や当時小学生だった子どもが応援してくれたことで吹っ切れた。そして揺るぎない目標が生まれた。「本当に諦めなくて良かった。あの時アドバイスをくれた上司や家族の応援には感謝しかない」。新川さんはしみじみと話す。

60周年に掲げる新たな目標

高松国際ホテルにはユニークな一室がある。
ボルダリングや落書き黒板壁で楽しめる「キッズスペースルーム」

ボルダリングや落書き黒板壁で楽しめる「キッズスペースルーム」

子ども向けのボルダリングの壁、落書きできる黒板の壁や大画面で映し出せるプロジェクターなどが備わった「キッズスペースルーム」だ。「家族みんなで楽しんでほしい。客層をどんどん広げていきたいと思っています」

宿泊の売上がコロナ前の150%まで増える月も出るなど、「宿泊需要も宴会需要もしっかり戻りつつあると感じています」。だが、課題もある。「コロナで多くのスタッフが離れました。ホテルサービスの品質を守るため、人材育成が急務です」
来年は開業60周年の節目の年。まずは「働きやすい環境を整えていきます」

その一手として計画しているのが、制服のリニューアル。「従業員のモチベーションアップに繋がるし、採用にも効果があると思っています」

新川さんには次の新たな目標がある。

現在は『宿泊』『宴会・会議』『レストラン』がホテルの三本柱だが、「今はあまりできていない『ウェディング』をいつか本格的に再開させたい」と目を輝かせる。自身を成長させてくれた“高松国際ホテルのウェディング”。「新郎新婦の想いをカタチにする結婚式や披露宴は従業員の育成にも繋がり、何よりお客様の幸せに寄り添える素敵な仕事です」

歴史、伝統、格式を強みに「『不易流行』を常に意識し、今も繋がりのある首都圏のホテル人脈を活かして夢を膨らませていきたい」と話す。

新川 美香 | しんかわ みか

略歴
1964年 さぬき市出身
1983年 津田高校 卒業
     株式会社高松国際ホテル 入社
2001年 穴吹エンタープライズ株式会社 入社
2003年 ホテル事業部営業部婚礼営業課長
2010年 ホテル事業部営業部長
2014年 ホテル事業部営業部長 兼 宿泊統括部長
2015年 総合企画室室長
2017年 サービスエリア&リゾート事業部事業推進室室長
2023年 高松国際ホテル 総支配人
    (ホテル統括部宴会料飲部長 兼 料飲営業部長)

高松国際ホテル

住所
香川県高松市木太町2191-1
代表電話番号
087-831-1511
設立
1964年10月3日
事業内容
宿泊、レストラン(ぐりる屋島)、宴会・会議、ウェディング 他
運営
穴吹エンタープライズ㈱
地図
URL
https://tkh.anabuki-enter.jp/
確認日
2023.07.06

穴吹エンタープライズ株式会社

住所
香川県高松市古新町9-1 リーガホテルゼスト高松内
代表電話番号
087-825-0556
設立
昭和62年7月22日
事業内容
ホテル・旅館事業
スポーツ健康増進事業
サービスエリア事業
指定管理者事業
関連事業
資本金
4,000万円
地図
URL
http://www.anabuki-enter.jp/
確認日
2023.09.07

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ