平均寿命23.5年、3年ぶりに前年下回る

2017年業歴30年以上の老舗企業倒産調査 東京商工リサーチ

Research

2018.03.15

2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年で、前年より0.6年低下。このうち、業歴30年以上の老舗企業の構成比は31.2%で、前年より1.0ポイント低下した。一方、同10年未満の新興企業は同24.5%と、前年より2.1ポイント上昇。新興企業では金融・保険業、運輸業、サービス業他などで構成比を押し上げた。

※本調査は、2017年(1~12月)に倒産した8,405件(負債1,000万円以上)のうち、創業年月が判明しない1,087件を除く7,318件を対象に分析。業歴30年以上を「老舗企業」、同10年未満を「新興企業」と定義し、業歴は法人企業が設立年月、個人企業は創業年月とした。

老舗 7年連続30%以上

企業倒産に占める老舗企業の構成比は11年以降、7年連続で30%以上を維持している。過去の成功体験から抜け出せず新たな取り組みに遅れたり、グローバル化や多様化するニーズのなかで新たな生産性向上への投資もできず、倒産に至るケースも多い。

一方、新興企業では、国や自治体などが推し進める創業支援で事業を立ち上げても、一時のブームに乗っただけで経営計画の甘い経営者も少なくはなく、構成比を押し上げた。

製造業は老舗が5割

倒産企業のうち、老舗企業の構成比を産業別にみると、最高は製造業の52.9%(前年51.6%)。以下、運輸業、不動産業と続き、10産業のうち6産業が前年を上回った。

製造業は、輸出企業を中心に大手が好業績をあげる一方で、倒産した企業は小・零細企業を主体にしている。資金繰りに余裕が乏しいうえ、人材確保による人件費上昇、経営者の高齢化による事業承継難など、取り巻く経営課題に対応できなかった企業が少なくない。

業歴10年未満で構成比がトップの金融・保険業は、低金利のなかで高配当などを謳って出資金を募るビジネスモデルに無理があった投資(資産)運用会社などが散見された。

四国が4年連続トップ

老舗企業の地区別の構成比は、最高は四国の43.7%で4年連続トップ。都道府県別の上位10位内に香川(5位)、高知(8位)の2県が入り、11位に徳島が続いた。17年の社長平均年齢は高知が63.5歳と全国最高で、徳島、香川も全国平均(61.4歳)を上回り、後継者や事業承継などの深刻な状況が垣間見える。

老舗企業は長年の信用と実績を背景にしているが、中小企業の多くは経営者の高齢化、後継者問題など事業承継に課題を抱えている。

老舗企業は自社の強み・弱みなどの実態を見つめ直し、今後の経営にどう活かせるか問われている。新興企業も一時的なブーム頼りでなく、将来の資金計画を含めた地道な経営が求められている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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