遠回りしても 社会に貢献できる

hito.toco 代表理事 宮武 将大さん

Interview

2018.11.01

一般社団法人hito.toco(ヒトトコ)は障害のある人の就労支援や、不登校・ひきこもりの相談を行う。代表理事の宮武将大さん(32)は小学6年生で不登校になり、20歳までの8年間、ひきこもりの経験がある。今、ひきこもりのさなかにある人たちに伝えたいのは「人生そんなに悪くないよってこと。でも社会復帰することは楽しいばかりではないこともきちんと言って、サポートしていきたい」

6年生の時、学校へ行こうとするとお腹が痛くなり、登校できないことが増えた。「勉強についていけなくなって。できないことが恥ずかしかった」。中学入学を機に再び通い始めるものの、1カ月経たずに行けなくなった。その頃、同級生たちが乗る電車に自分だけ乗れずに取り残されるという夢をよく見た。「もう自分は普通には戻れない。人生終わったと思いました」

生きている意味が感じられなくなり、死ぬことも考えた。16歳の時、自分の葬式を想像した。心に浮かんだのは「悲しむ家族がいる限り、自分は死ねない」。20歳になったら働くと決め、体力づくりや車の運転免許を取得するなど準備を進めた。

20歳になってすぐ、スーパーマーケットの商品陳列のアルバイトに応募。「ひきこもっている間、ロールプレイングゲームをやっていました。バイトを始めると、こっちのゲームの方が面白いじゃん!って素直に思えたんです」。人と話してたくさん笑い、新しい仕事を一つ一つ覚えると、自分の成長が感じられた。働きぶりが評価され、社員になることを勧められたが、応募条件は「高卒以上」

21歳で通信制高校に通い始めると、もっと学びたいと思うようになった。「せっかくなら人手不足で困っている業界で、自分の力を発揮したい」と、四国学院大学で社会福祉を学んだ。学外ではひきこもり当事者の自助グループや、家族を支援する団体で活動を始めた。卒業後は介護サービス業に就職し、休日は引き続き支援活動をした。

不登校やひきこもりに限らず、生きづらさを感じる人たちを支援したいと考えて、2016年にhito.tocoを設立。18年4月にhito.tocoの活動一本にした。「みんなと同じ電車には乗れなかったけれど、いろんな乗り物を乗り継いでここまでやって来ました」
2年間でパソコンの基本操作を覚える

2年間でパソコンの基本操作を覚える

今年4月から始めたのが、精神障害や発達障害のある人の就労支援だ。2年間でパソコンの基本操作やビジネスマナーなどを身に付けるほか、就職を希望する複数の企業で職場体験もできる。「ひきこもりだったから、障害があるから・・・と、働くことにハードルの高さを感じている人は多い。hito.tocoが企業との橋渡しをして、来歴に関係なく誰もが働きやすい仕組みをつくりたい」
ビジネスマナーの講座も実施

ビジネスマナーの講座も実施

30歳になるまでいろんな人たちに支えてもらったため、40歳までは社会に恩返しする期間だと決めた。「遠回りをしても、社会に貢献できる人になれる」。そう信じて活動を続けていく。

鎌田 佳子

宮武 将大 | みやたけ しょうた

1985年 高松市生まれ
2010年 さくら国際高等学校 卒業
2014年 四国学院大学 卒業
    株式会社あい介護サービス 入社
2016年 一般社団法人hito.toco 設立
2018年 就労支援サービス、居場所事業を開始

一般社団法人 hito.toco(ヒトトコ)

住所
香川県高松市瓦町1丁目9番地6 エマールビル302
代表電話番号
087-862-5115
設立
2016年
事業内容
就労移行支援サービス、ひきこもり等相談支援など
地図
URL
http://hitotoco.or.jp/
確認日
2018.11.01

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