野球消滅

著:中島大輔/新潮社

column

2019.09.05

プロ野球のペナントレースもマジックナンバーが出て終盤にさしかかっています。そんな中、それに水をさすような「野球消滅」という刺激的なタイトルの本が出ました。もちろん著者は野球が嫌いな人ではありません。     

昨年プロ野球は観客動員が史上最多の2,555万人を記録しました。この数字の中身は、野球にある程度興味を持っているライトファンをコア化させてリピーターになってもらい観客動員を増やすという戦略で、千葉ロッテが導入し大成功して各球団も取り入れたというものです。

しかしこれは新規のファンが増えた訳ではなく、ファンの延べ人数は増えたけれども実人数は増えていないという結果になっています。ある調査によると日本のプロ野球ファンは2009年の3,780万人から17年には2,845万人に減少したと言います。これは球場に行かなくてもテレビで観戦したり新聞を開いて結果を確認したりするライトファンが、減った可能性があると本書にあります。

そしてさらに深刻なのは、小中学生の野球人口が07年から16年の間に26.2%減少しています。裾野が狭まるということは、その後には先細りしかありません。本書にはプロ野球から小中学生の野球、高校野球の現状と問題点が詳しく報告されています。そこからはあまり良い感想はもてません。

子どもたちが原っぱや空き地で野球をし、夜にはテレビで野球中継を見るのはもう珍しいものですし、野球をして遊ぶということ自体少なくなっています。「する」スポーツの延長線上に「みる」があるのが理想だといいます。子どもたちにはもっと遊びの野球をやってもらいたいと思います。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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