「遊び」がダンボールの 可能性を広げる

株式会社FUJIDAN 常務取締役 本田 祥太郎さん

Interview

2017.07.06

ダンボールは、モノを運ぶためのただの箱だと思っていた。しかし大学卒業後、大阪の同業他社で働き、家業であるFUJIDAN(フジダン)で業務用パッケージ製作に携わるうち、ダンボールのおもしろさを知ったと本田祥太郎さん(29)は言う。

例えば製品を運ぶ際のパッケージは、限られた輸送スペースの中でいかに効率的に、かつ安全に運べるかを追求しながら設計する。「3つしか入らなかった製品が、設計を工夫することで同じ大きさの箱に安全性を確保したまま4つ入るようになれば、輸送コストの面でお客様の利益に貢献できる。パッケージの重要さを実感しました」

比較的小さいパッケージは、スーパーなどの店頭に並ぶこともある。その場合、お客さんが最初に目にするのは商品そのものではなくパッケージだ。「パッケージはデザインや形、色で購買意欲をかき立てることもできる。商品の価値を高める役割もあるんです」
業務用ダンボールは、他社との差別化が難しい世界だ。だからこそ、他社がやっていないこと、やろうとしないこと、できないことに積極的に取り組んでいる。「失敗したら元にもどせばいいから、とにかく面白いことをやってみよう、という雰囲気が社内にありますね」。ダンボール素材を組み立てると動物や電車などが作れる工作キットを開発した「hacomo(ハコモ)株式会社」は、もとはFUJIDANの設計部門。商品化をきっかけに分社化、現在はFUJIDANで受注した商品の設計をhacomoが手掛けている。

管理部部長でもある本田さんがかかわったのは、お中元やお歳暮のパッケージ。顧客の会社に届けられるギフトの中で、インパクトがあって「FUJIDANは面白いことをしている」と思ってもらえるよう、ビールや富士山型ボックスのアイデアを出した。スイカの箱は、商品を取り出した後、ふたの向きを変えると貯金箱として使える。
アイデアを出したギフトのパッケージ

アイデアを出したギフトのパッケージ

ダンボールを曲げることはできないか-という発想から開発されたのが、円筒型や波型を自由に作れる「アールダンボール」。ほかにダンボールの家具、災害時に避難所で使えるパーテーションや簡易ベッドも製作。大学と共同でダンボール製のラジコン飛行機を開発するなど、会社を挙げて固定観念を打ち破る挑戦を続けている。「アイデア次第で、ダンボールという素材の可能性はいくらでも広がると思います」

入社4年目に常務取締役になり、プレッシャーで自分の立ち位置を見失いそうな時期もあったと言う。しかし、社長である父から松山の工場立ち上げを任され、どんな仕事もいろんな人に助けられて成り立っていることを肌で感じた。
昨年完成した新工場

昨年完成した新工場

会社は今年、創業60周年を迎える。昨年は、面白い商品を生み出すための先行投資として、大型印刷機や材料自動投入ロボットを導入した新工場を建設した。「父は現在66歳。年齢を考えるといつまでも頼ってばかりはいられません」。自分の役割は何か。それは、自社の一番の武器である自由な発想力を、社員がいかんなく発揮できる環境をつくることだと考えている。「一生懸命仕事だけに打ち込めばいいとは限りません。プライベートも充実できるように、福利厚生面も充実させたい。遊びの中で感性を磨くことがFUJIDANとしてのいい仕事につながると思います」(石川恭子)

本田 祥太郎 | ほんだ しょうたろう

1987年11月東かがわ市生まれ
2006年 3月 三本松高校 卒業
2010年 3月 京都学園大学経営学部 卒業
2010年 4月 レンゴー株式会社 入社
2011年 3月 レンゴー株式会社 退社
2011年 4月 株式会社FUJIDAN(旧富士ダンボール工業株式会社)入社
      管理部配属
2014年 4月 常務取締役 就任
写真
本田 祥太郎 | ほんだ しょうたろう

株式会社FUJIDAN

所在地
東かがわ市白鳥1820/TEL:0879-25-2381
資本金
4000万円
従業員
90人
地図
URL
http://fujidan.jp/
確認日
2018.01.04

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ