「A・T・M」を心掛けて 地域に種をまく

中国銀行常務執行役員 四国地区本部長 西明寺康典さん

Interview

2021.02.18

中国銀行は、明治時代からあった地域の銀行がいくつか合併し、1930年に誕生した。琴平銀行、大内銀行、三豊銀行などと合併した経緯から、「香川にも古くからのお客様が多くいらっしゃいます。本社は岡山ですが、香川も地元という意識が強いですね」

今、地域の少子高齢化やデジタル化への対応といった課題に対し、自治体や地元企業と連携した取り組みを進めている。2019年には、将来有望なベンチャー企業の発掘・育成を目的に「香川テックプラングランプリ」の開催に尽力した。ものづくり、バイオといった分野の研究開発型ベンチャー9組が最終選考会でプレゼンを行った。

20年には、三豊市とAIやIoTなどの先端技術を活用した産業振興への連携・協力に関する協定を結んだ。「銀行ならではの経営支援やビジネスマッチングを行い、地域振興をサポートしていきたい」

多彩なキャリア

広島東支店オープン時のポスター

広島東支店オープン時のポスター

地域に根差した業務を心がける一方、現在在籍する四国地区本部では、他地域との連携も目指す。「“東瀬戸内圏”という視点で、地域の財産を生かすために必要なら岡山をはじめ他地域の取引先とマッチングする。時代の変化に対応するには、広い視野も必要です」

そういった視点をもつようになったのは、多彩なキャリアが関係しているという。入行後は営業店で経験を積んだ後、融資部でさまざまな地域の案件に関わった。東京支店では、他行の銀行マンと情報交換する機会も多く、自社の銀行の特徴を客観的に分析することができた。

印象に残っているのは、広島東支店の開設準備責任者として赴任した経験だ。広島カープの本拠地・マツダスタジアムの目の前という立地もあり、開設前から注目されプレッシャーも大きかった。「『広島の中へ、もっと。』というキャッチフレーズで、地元のCMやポスターに頭取とともに出演し、オープン当日は支店長として囲み取材やラジオの生放送と、銀行員生活初のことばかり。貴重な経験でした」

ゼロから支店をつくる。建物はいずれ完成するが大事なのは中身。「言われたことだけではなくお客様の期待を超えるサービスを目指しました」。心掛けていたのは、明るく、楽しく、前向きに。「私は、頭文字をアルファベットにして“ATM”と言っていました。日々明るく仕事を楽しみ、お客様の困りごとの解決に対してはできる方法を考えて前向きに。支店のメンバーも一丸となってくれて、地元の人に頼られる支店になっていったのは嬉しかった」

銀行マンのやりがい

四国地区本部のメンバーと(女木島)

四国地区本部のメンバーと(女木島)

今、金融は厳しい業界だといわれている。しかし、「自分が関わった企業が成長した姿をみることができる、10年以上たっても『あの時お世話になった』と名前を覚えていてくれる。銀行マンはやりがいのある仕事です」

今後は、香川にもっと人を呼び込めるよう、地域ならではの魅力を発信していきたいという。「他地域の違う考え方をもつ人が加わり、それが刺激となって私たちも変わる。そういう循環をつくりたい。すぐに結果は出なくても、少しずつ地域活性化の種をまくのが銀行マンの仕事です」

石川恭子

西明寺 康典 | さいみょうじ やすのり

略歴
1966年 岡山県生まれ
1989年 中国銀行 入行
1999年 融資部調査役
2006年 融資部次長
2009年 備後地区本部次長
2010年 落合支店長
2012年 広島東支店開設準備委員長
    広島東支店長
2015年 東京支店長
2017年 執行役員営業統括部長
2019年 常務執行役員 四国地区本部長

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