不動産を通じて地域活性化に貢献を

公益社団法人 香川県宅地建物取引業協会 会長 加内 雅彦さん

Interview

2023.03.02

琴平町生まれ。大学を卒業して東京から香川に戻り、不動産会社などで経験を積みながら独学で宅建の資格を取得、1990年に34歳で独立した。「不動産は価値が下がらない」と言われたバブル期の土地神話の片鱗も味わったが、90年代後半からは土地の価格が冷え込み始める。「2004年の市街化調整区域解除の影響だという声もありますが、高松の場合は大手企業が地方に支店を置かなくなって、四国の玄関としてのニーズが減少したのも一因でしょう。とはいえ、マンションはコンスタントに売れていましたよ」。不動産を通じて、県内のさまざまな動向が見えてくるという。

取引の信頼を裏打ちする 地域密着のネットワーク

月刊情報誌「不動産ニュースかがわ」

月刊情報誌「不動産ニュースかがわ」

県内で宅建業者として開業する事業者は、9割以上が香川県宅地建物取引業協会もしくは全日本不動産協会のいずれかに加盟している。現在、香川県宅建協会の会員は約1000社。加内さんも独立当初から名前を連ね、理事、常務理事、副会長などを経て2022年5月に会長に就任した。県内12支部の長と月数回会議を行うほか、中四国会長会など県外との情報交換も盛んで、学ぶことも多い。大都市圏の先進的な取り組みをはじめ、得た情報は会員内で共有している。

一般向けには、関係団体で会員企業のみが掲載できる売買・賃貸情報誌「不動産ニュースかがわ」を毎月発行し、宅建協会の信用が裏打ちする確かな不動産情報を広く提供。公式サイトにも掲載しているが、読み手が最新の売買情報をじっくり比較・検討できるよう、紙媒体での発信には今もこだわる。

会の活動を支えるのは、顔の見える距離で地域と取引を続けてきた会員間のネットワーク、すなわち信頼関係だ。「不動産は財産ですから、取引は信頼できる相手に任せたいと誰しも思うものです。私たちが長年地域に根差して築いた信頼は、県外から進出してくる大手に対しても大きな競争力になるでしょう」

交流人口の増加を支え 地域を活気づけたい

行政が取り組む「少子化」「移住」「空き家」対策は、不動産を通じて地域に貢献する理念を掲げる協会にとっても大きなテーマだ。加内さんも「これらを解決するには、香川のよさ、街の住みやすさをPRして交流人口を増やし、旅行者や移住者でにぎわう地域づくりが重要です。働く世代を対象とする民間アンケートで丸亀市が2022年の『住みよい街』全国3位に選ばれたことからも、ポテンシャルはあるはずだと感じています」と語り、行政と連携して空き家バンクサイトを運営するほか、行政が行う移住相談会などにも相談員を派遣している。「島しょ部をはじめ、まだアプローチが足りない部分があるし、就職や地域社会とのかかわりも含めた総合的な移住サポートも必要だと思います。今後も協会として貢献できることがあればうれしい」と語る。

戸塚 愛野

加内 雅彦 | かうち まさひこ

略歴
1956年 琴平町生まれ
1974年 香川県立坂出高校卒
1980年 中央大学経済学部卒
1990年 大英不動産を創業
2003年 有限会社大英不動産に組織変更
     代表取締役就任
2022年 香川県宅建協会 会長

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