「香川発、世界」を支えたい

日本貿易振興機構 地域統括センター長(四国)
香川貿易情報センター所長 石原孝志さん

Interview

2021.05.07

日本貿易振興機構(ジェトロ)は、日本企業の海外進出や製品の輸出の支援、海外に進出した企業の現地でのサポートなどを行う。支援企業はさまざまな業種で、勤務地も世界各国。石原孝志さんも、アメリカ、香港、フィリピンに赴任し数多くの日本企業を支援してきた。

「日本とアフリカの元首が集まるケニアでの国際会議に併せて日本企業100社を紹介した展示会、2005年愛知万博に参加する途上国80カ国のサポートなど。大変なこともありましたが、やりがいのある仕事ばかりでした」
 
10年前に駐在した香港では日本製品に対するニーズが高かった。「日本の食品は少々高くても、よく売れました。最初は魅力がうまく伝わるか心配していた伝統的工芸品が、工夫してPRしているうちに人気が出てきたこともありました」

現地の状況を伝えるため統計や資料を提供するのはもちろんだが、できるだけ生の情報を提供したい。そのため、普段からさまざまな業種の人とのつながりをもち、政府関係者や日系企業の人と話をして情報を集める。「海外に視察にきていただいたからには、、満足のいく成果を持ち帰ってもらいたい」

日本の若者が軽やかに

フィリピンのロペス貿易産業長官と

フィリピンのロペス貿易産業長官と

赴任したフィリピンで支援した日系ベンチャー企業が印象に残っている。フィリピンで街の足となっているバイクタクシーの運転手は低所得者層が多く、バイクタクシーを購入したくてもローン審査に通らない。

ある日本企業が「ローンの返済を続ける限りバイクのエンジンがかかるシステムを開発し、完済すれば使っているバイクは自分のものになる」事業を提案。このアイデアを実証するお手伝いをしたところ、日本と現地の各方面から支持され、社会課題を解決するビジネスとして大きく成長した。

「日本では少子高齢化が進んで将来を悲観する見方も多いですが、アジアにいると日本の若い方がさまざまなアイデアで事業を興し、次々と海外に出てきた。そんな姿を目にすると嬉しいですし、日本は元気だと思えます」

よそ者の目で

ジェトロ香川主催オンライン商談会の様子

ジェトロ香川主催オンライン商談会の様子

海外の人と話をすると、私たちが当たり前だと思っていることに価値を見出している、と気づくことが多い。例えば空気がキレイ、電車が時間通りで快適、安い食べ物までおいしいという人もいる。「よそ者の目という視点は大事だと思います。私も、高松にきて山や海の景色にほっとしました」

料理が趣味で、スーパーで「地物」と書かれた魚や野菜を料理し、地元の味を楽しんでいる。海外では道路事情などでできなかったジョギングとサイクリングをしながら街を知りたいという。

「見慣れている人には何とも思わないことも、世界的に注目されるものがあるかもしれない。それを発掘し、香川から世界へ――を支援していきたいですね」

石川恭子

石原 孝志 | いしはら たかし

1967年 島根県生まれ
1986年 島根県立松江南高校 卒業
1990年 神戸大学経済学部 卒業
    日本貿易振興会(当時)に入会、農水産部配属
1992年 岡山事務所
1996年 ヒューストン事務所
1999年 展示事業部国内見本市課課長代理
2003年 博覧会支援チーム チームリーダー
2006年 上海博覧会チーム チームリーダー
2008年 香港事務所 次長
2012年 12年 アジア経済研究所研究人材課長
2017年 マニラ事務所所長
2021年 香川貿易情報センター所長

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