過去最高の61.73歳

2018年全国社長の年齢調査 東京商工リサーチ

Research

2019.04.04

2018年の全国社長の平均年齢は、前年より0.28歳のびて61.73歳だった。調査を開始した09年以降、最高年齢を更新した。企業業績と社長年齢は一定の相関性がみられ、年齢上昇に伴い減収企業と赤字企業が増える傾向がある。社長の高齢化や後継者難を背景に、ビジネスモデルの革新や生産性向上への投資抑制が業績悪化に拍車をかけているようだ。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(339万社)から代表者の年齢データを抽出、分析した。前回の調査は18年2月。「社長」は、代表取締役社長のほか、個人事業主や理事長などを含む。

70代以上の比率上昇目立つ

社長の年齢分布は年とともに高齢化が進み、構成比は60代が30.35%で最高だった。70代以上は前年比1.95ポイントアップし、28.13%と調査開始以来、最高を記録した。60代は13年以降、年々構成比を下げて30.35%。一方、30代以下は2.99%まで構成比を下げた。

社長年齢と業績は、70代以上は「減収」、「赤字」が最も多い。「連続赤字率」も10.65%に達し、社長の高齢化に伴い業績にマイナスの影響が強く出てきている。

最高は高知の63.95歳

都道府県別では、30都道県が全国平均の61.73歳以上となった。社長の平均年齢のトップは、高知の63.95歳で、前年の63.54歳から0.41歳上昇した。次いで、秋田の63.71歳、岩手の63.35歳の順。香川は62.23歳だった。

年齢上位の県は、総務省統計局の人口推計(17年10月1日現在)の「都道府県別人口増減率」の減少率上位に近い顔ぶれとなった。人口減少による新規開業の低迷や事業承継の難しさを反映しているとみられる。

協同組織金融業 70歳超えも

業種別の社長(理事長などを含む)の平均年齢は、信用金庫、信用協同組合など「協同組織金融業」が最高の66.99歳だった。19年も代替わりが停滞した場合、全業種で唯一、平均年齢が70歳を超える可能性がある。

急速に進む少子高齢化で生産年齢人口が減少をたどり、人手不足が深刻化している。政府は事業承継税制を拡充し、19年度は個人企業にも承継に伴う贈与税・相続税などの納税猶予を適用する方針だ。ただ、小・零細規模ほど生産性に課題を抱えており、納税を猶予した企業の生産性向上へのチェックシステムは必要だろう。また、生産性が上がらない場合、生産性向上への具体的な支援など、貴重な労働力を有効活用する環境を整えることも欠かせない。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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