塩江に現代サーカスの拠点

瀬戸内サーカスファクトリー

News

2019.05.16

瀬戸内サーカスファクトリーの田中未知子さん。 旧上西小学校の体育館を現代サーカスの拠点 「ShionoēAIR(シオノエアー)」に

瀬戸内サーカスファクトリーの田中未知子さん。
旧上西小学校の体育館を現代サーカスの拠点
「ShionoēAIR(シオノエアー)」に

瀬戸内サーカスファクトリーの拠点施設「ShionoēAIR(シオノエアー)」が、本格的に動き出した。高松市塩江町の旧上西小学校の体育館を、現代サーカスの練習と創作の場として活用する。体育館の天井高を生かして、空中演技に使うエアリアル・シルク(天井から吊り下げた布)を設置するなど環境を徐々に整えている。アーティストたちが長期間滞在できるよう、旧上西小の近くに宿舎も準備中だ。

代表理事の田中未知子さんは「サーカスファクトリーという名前のとおり、サーカスを生み出す場所にしたい。校舎の建物も生かして、ゆくゆくは事務局の機能や図書館も整備できたら」と話す。

5月12日にはワークショップの成果発表会を開催。フィンランドと日本の外交樹立100周年を記念した現代サーカスプロジェクトの一環で、東京と福岡の団体との共同で行ったものだ。日本とフィンランドのアーティストが演技を披露し、約100人が鑑賞した。

現代サーカスは1970年代にフランスで生まれ、現在、世界約50カ国に広がっている。猛獣が曲芸をするなどの従来のサーカスとは異なり、現代サーカスは美術や演劇、ダンスの要素を取り入れたもので、カナダの「シルク・ドゥ・ソレイユ」もその一つだ。日本独自の取り組みや公演は「ここ1~2年で盛り上がってきた」という。

田中さんは北海道出身で、地元新聞社で文化事業を担当しているときに、現代サーカスを知った。「技術よりも先に、アーティストたちの優しくまっすぐな目、存在そのものに魅了されました」。新聞社を辞めて、現代サーカスに携わるようになった。瀬戸内国際芸術祭をきっかけに香川県を訪れて、2011年に移住、瀬戸内サーカスファクトリーを立ち上げた。練習や公演ができる場所を探して、たどり着いたのが塩江町だった。周辺の環境の良さと地域住民の温かさが決め手になった。ShionoēAIRがあることで「にぎやかになってうれしい」と地域住民からも喜ばれている。

国内外からアーティストを招いて、これまでにことでんの仏生山工場や屋島山上などでも公演を行ってきた。今年6月にはフランスのシャンパーニュ地方とロレーヌ地方のワイン畑で、9月には琴平町での公演を予定している。田中さんが意識しているのは、観客に日常の風景の中で現代サーカスを見てもらうことだ。「現実と非現実を行ったり来たりするような、不思議な感覚が味わえると思います。普段見ている景色も視点を変えることで違って見える。そうすると、自分の中で何かが切り替わるんです」

田中さんはクオリティの高い現代サーカスを香川から生み出すことで、観客にアートを楽しんでもらうだけでなく、地域の人との交流が生まれたり、観客の視野が広がったりするなどの「副産物」に期待している。「自分も含めて人の可能性を信じています。何かのきっかけで固定概念を打ち破って、新しいアイデアが湧き出てくる。私の場合、それが現代サーカスでした。その楽しさを多くの人と共有できたら」。県内の幼稚園や保育所に出向き、子どもを対象にした出張型のワークショップも随時開催している。

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ