訪問型 トレーニングを実践

ノバス 代表取締役 脇坂 諭さん

Interview

2017.05.04

テレビで見た三浦知良選手にあこがれてサッカー選手に。鹿児島城西高校時代は国体優秀選手、鹿屋体育大学が所属する大学リーグで最優秀新人王、カマタマーレ讃岐在籍時は3年連続得点王。脇坂諭さん(32)は選手として充実した日々を送っていた。それが、26歳での退団を境に一変する。「何をしても生活に刺激がなかった」。仲間が教員になったり故郷で就職したりする中、すぐ新しいことを始める気にはなれなかった。今まで自分をチヤホヤしていた人たちの多くも去っていった。「本当にこんなことが起こるんだと。どこか夢見がちだった自分の価値観が変わりました」

やがて、生活のために働いていた飲食店で多くの経営者たちと接するうち、少しずつ自分の進むべき道が見えてきたという。今までのキャリア、引退後も変わらず親身になって付き合ってくれた人たちとのつながり、この財産を生かせる仕事がしたい。先輩経営者のアドバイスを受けながら「40代以上に絞った健康づくり、トレーニングの提案」にたどり着く。
現在、教えているのは40代~90代

現在、教えているのは40代~90代

ターゲットが決まれば、おのずと提案するトレーニング内容も明確になる。生活習慣病予防と介護予防をメインに、自宅や介護施設を訪問して、マンツーマンまたは少人数でのトレーニングを行うスタイルを確立した。「会社としてスタジオを持たず訪問型で、というのは当時あまりなかったかもしれません」。スタジオで大人数に教える方が経営的には効率がいい。しかし、自分らしさは何かを考えた時「一流ホテルのように、満足してもらえるサービスを目指すべきだ」と思った。

少人数だからできること。当日、その人の表情を見て体調を聞いて、柔軟に運動メニューを変える。顧客が興味のあることや話した内容をデータにしておく。一人ひとりとじっくり接することで、運動だけではなくメンタルの部分もケアしたいという。「介護施設に引きこもりがちだった85歳の人が1年ほどたったころ、実は運動が好きだったと少しずつ話してくれるようになって」。1日10回ずつ腕立て伏せをするようになった時は、心から嬉しかった。
施設を訪問し、高齢者を指導していて感じるのは、介護保険制度の中で決められた範囲しかできないもどかしさ。「この部分をあと少しトレーニングすれば、もっと元気になれるのにと思うことが多い」。そこで、施設と独自に連携し、その人に本当に必要なトレーニングを提供できる仕組みを作ろうとしている。また、病院でのリハビリ期間が終わった人の受け皿としても、何かできないかと模索中だ。
昨秋、顧客からの要望で2~3人で使える広さの スタジオを片原町駅近くにオープン

昨秋、顧客からの要望で2~3人で使える広さの
スタジオを片原町駅近くにオープン

4~5年後の目標は、介護トレーニングの分野でトップになること。「高齢化が進むこれからは、そのニーズがますます高くなると思います」。新たな展開に向けて、一緒に取り組む仲間を増やす予定だ。「私自身が引退した後大変だったので、同じようにセカンドキャリアで悩んでいる元スポーツ選手にも声を掛けたい」。それが自分を育ててくれたスポーツへの恩返しになると考えている。

編集長補佐 石川 恭子

脇坂 諭 | わきさか さとし

1984年11月 鹿児島県指宿市出身
2007年 3月 鹿屋体育大学 卒業
2007年 4月 カマタマーレ讃岐 入団
2007年~09年 3年連続リーグ得点王
2010年12月 カマタマーレ讃岐 退団
2015年 5月 株式会社ノバス設立 代表取締役 就任
写真
脇坂 諭 | わきさか さとし

株式会社ノバス

住所
高松市井口町2-1 2階
TEL:087-813-2283
事業概要
介護施設・在宅への訪問による介護予防エクササイズ、パーソナルトレーニングスタジオ
資本金
500万円
地図
URL
http://www.novas-service.com/
確認日
2018.01.04

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