地域を活性化する観光の“専門職”を育てたい

せとうち観光専門職短期大学 学長 青木義英さん

Interview

2021.04.01

4月2日、「せとうち観光専門職短期大学」が開学する。聞きなれない「専門職短期大学」とは、2017年に学校教育法が一部改正されて誕生した新しい学校制度。研究に重点をおく大学と、実務やスキルを中心に学ぶ専門学校の長所を取り入れ、特定の職業のエキスパートを目指し、理論と実践の両面から学べるのが専門職短期大学の特徴だ。

青木義英さんは、観光分野の専門職短期大学としては日本初となる同校の学長に就任した。日本航空の空港部門でキャリアを積んできたが、教育の道に進んだきっかけはスペイン・マドリードに支店長として赴任したときの経験だという。

観光=旅行じゃない

マドリード時代

マドリード時代

マドリードには、観光分野の国際機関「UNWTO(国連世界観光機関)」の本部があり、各国代表が参加する会議に関わる機会があった。当時の議論のテーマは「観光でアフリカの飢餓を解消する」。観光が産業として成り立つことで国の経済が発展し、貧困問題の解消につながる。「観光=旅行というイメージが強いですが、それは一つの側面です。観光はソフトパワーであり、ときに社会を変える力になる、そのことを若い世代に伝えたいと思いました」

観光は、日本という国を理解してもらい、世界の中で日本の存在を発信していくための手段、とも考えている。「さまざまな国の人と交流し、日本は私たちが思うよりもまだまだ知られていないと感じました」。日本を伝えるためにまずは自分たちが知る必要がある。その方法の一つが国内旅行で、海外旅行は外から日本を客観的にみる、インバウンドは日本を知り、興味をもってもらう。今、コロナ禍で観光業界は厳しい状況だが「単純に観光=旅行=楽しい、だけじゃない。すごく意義のある仕事なんです」

「観光とは何か」を理解し、単に接客のスキルを身に付けるだけではなく何のためにそういう接客をするのか。「その背景まで考えられるのが“専門職”です。そういった人材を育てたい」

現場でしかわからないこと

地中海でマグロ釣り

地中海でマグロ釣り

開学にともない香川での生活が始まった。縁もゆかりもない地だが「土地の文化は現地に行かなければわからない。だからすごく楽しみでした」。釣りが趣味ということもあり「海」が好き。いつか瀬戸内の島を巡り、土地の文化に触れたいという。

自身の経験から、現場を知ることは学ぶ上で重要だと考えている。同校3年制のカリキュラムでは、宿泊、交通、地域産業など地元を中心とした提携企業での臨地実務実習も設定されている。「研究は一人でもできますが、現場には“相手”がいます。相手の思いや価値観を体感できるのは現場しかない」。実習を通して地域を知り愛着をもつ、それが地域を活性化できる人材の育成につながるという。

歴史、文化、食、おもてなし……「観光」のエキスパートには幅広い知識と経験が必要だ。ただ「熱意さえあれば道は開けます。やる気を伸ばしていくのが、私たち教員の役割です」

石川恭子

青木義英 | あおき よしひで

略歴
1948年 東京生まれ
1967年 駒場東邦高校 卒業
1972年 成城大学経済学部 卒業
    日本航空 入社
    マドリード支店長など歴任
2008年 鈴鹿国際大学国際人間科学部 特任教授
2012年 和歌山大学観光学部特任教授
2021年 せとうち観光専門職短期大学学

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