ふるさとの魅力発信に尽力したい

日本航空株式会社 高松支店長 中橋 健史さん

Interview

2023.11.02

坂出市出身。1988年、香川大学を卒業してJALグループの旅行会社に就職した。「航空券や旅行商品を販売する会社で、地方でのJAL航空券やツアー商品の販路拡大を目的とした地元採用でした。香川が大好きで地元を出るつもりもなく、地元に根差しながらJALグループで働けるのがいいなと思って決めたんです」。順調にキャリアを積んでいったが、2002年、JALとJASの統合をきっかけとしたJALグループの販売体制再編に伴い大阪へ異動してからは県外勤務が続き、昨年10月の高松支店長就任が約20年ぶりの帰郷となる。

破綻から再上場へ・・・再生の中枢で活躍

「会社の再編とともに歩んだ人生です」と振り返るキャリアの中でも転機となったのは、2010年の経営破綻と体制再編だ。当時は大阪のJALセールスで総務グループ長を務めていたが、破綻後は日本航空東京本社の調達部で企業再生に向けた再上場プラン策定メンバーとして奔走した。

調達部は航空機の運航を中心としたすべての役務・物品を手配する部門。「当時の稲盛和夫会長に『八百屋の経営もできない』と言われたように、体制や構造の問題に加えて社員の採算意識が希薄だったことが破綻の一因でした。会社経営の基礎から稲盛さんに叩き込まれ、いかに過剰仕様や過剰発注が多かったか、取引先との交渉力が不足していたかを思い知りました」。コストの根本的な見直しとともに、JALフィロソフィによる会社の理念・ビジョンを全社員と共有して調達改革を進め、再上場の早期実現を支えた。

ずっと調達で・・・という思いもあったが、従来の「航空機を利用するお客さまを増やす」営業戦略から地域活性化を軸とするソリューション営業にシフトする中で、「香川に戻って地域に役立つことをしたい」と思うようになった。「念願が叶ってうれしい。現場でいろんな人に出会い、ネットワークを広げていくのは私の一番やりたかったこと。地元ということもあり知人が多く、地域事情や文化に慣れ親しんでいるというアドバンテージが私の強みです」

地域密着力を生かし 活性化を広く支援

festhalleで行ったライブの様子(2023年3月)

festhalleで行ったライブの様子(2023年3月)

地域創生と地域課題の解決を掲げる「JALふるさと応援プログラム」などの取り組みは以前から進めているが、ソリューション営業として本格的な事業展開がスタートしたのは今年から。CAやパイロットによる人材教育、県産品とタイアップした商品開発と販路開拓、MaaSの確立など、柔軟な発想で同社が培ってきたノウハウを活用する内容だ。「地域全体が魅力的な場所になれば、人口が少なくても交流人口が増え、まちが活気づきます。そのための発信を、地域や他社と一丸で進めて行こうという取り組みで、地域と本社のプログラム運用部門をつなぐハブが支店の役割。各支店を中心とする地域密着型のビジネスは、当社の得意分野でもあります」

趣味は音楽。中学からギターを手に作曲をたしなみ、大学時代はプロデビューに肉薄したというバンド活動を10年ほど前から再開、オフはライブも楽しむ。「あくまで趣味ですが、音楽活動も地域活性化の一つですから、会社として新しいビジネスが生まれるきっかけになれば面白いんじゃないかとは思っています。定年までの間、自分がどれだけやれるか全力で挑戦し、ふるさとにも会社にも貢献したい」と語った。

戸塚 愛野

中橋 健史 | なかはし けんじ

略歴
1965年生まれ
1988年 ジャパンツアーシステム香川(株) 入社
1992年 ジャパンツアーシステム(株) 高松営業支店 主任
2004年 株式会社ジャルセールス西日本 業務部 業務グループ長
2010年 日本航空株式会社 西日本支社 総務部 総務グループ長
2011年 同 調達第二部 営業グループ マネジャー
2013年 同 調達第一部 企画グループ 統括マネジャー
2017年 同 総合調達部 物品調達グループ長
2022年 同 高松支店 支店長

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ