オリンピックイヤー「スポーツの持つ教育力」

香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

column

2024.02.01

今年はフランス・パリを舞台にオリンピックが開催されるオリンピックイヤーである。アマチュアリズムの下で、「参加することに意義がある」という言葉も有名だ。1984年のロサンゼルス大会以降、商業化の傾向が強くなったとも言われるが、競技を通して伝わる鼓動、躍動、感動は色褪せない。

私の印象に残る香川に縁のスポーツシーン。近くはバスケットボール男子日本代表、渡邊雄太選手。チームをプレー面、精神面の両面で牽引し、見事パリ五輪出場を決めた。試合後「俺ら強くなったよ」と先輩、後輩関わらず抱き合っている姿が人となりを表していた。もう一つは、少し古いが北京五輪最終予選、男子バレーボール。勝利の瞬間、植田監督はスーツ姿でうつ伏せでコートに大の字となり喜びを表現した後、観客席のミュンヘン五輪金メダル戦士に報告に向かった。その姿に、高潔さを感じたものである。

郷土出身の方のプレー、人柄に触れ、懸命な姿を見ると、心から誇りに思うのは私だけだろうか。うつむきそうな心を鼓舞してくれる。レスリングでパリ五輪出場を決めた日下選手のインタビュー記事。何とも故郷愛、香川愛を感じられ、フレー、フレーと心で叫ぶ。そして、特別国民体育大会優勝者の報告。支えてくれている周りの方々や恩師への感謝の思いを語る。

一生懸命、悩み、もがき苦しみ、練習しても、勝敗が決まる勝負の世界。栄光の裏で、いくつもの挫折を味わいながら「前へ」と進もうとしてきたはずだ。「私なんか……」でなく「私でも……」と思わせてくれる何かがある。

彼らを通じ、教室の中だけでは学べない何かを感じ、懸命に何かをしようと、変わろうと、不器用でも遅くても少しずつでもできるようになろうとする全ての子どもたちを応援したい。くじけても大丈夫。どこにいても故郷の空、景色を思い出せば、家族、友、師は、いつも君の傍にいて受け止めてくれることを伝えたい。スポーツを通して、そんな絆がつながれば良いと思っている。

香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

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香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎

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